模倣犯 (下)
模倣犯 (下) / 感想・レビュー
zero1
読者は警察より先に真相と犯人を知る。ピースの名前を長い間伏せるなど構成は宮部の狙い通りか。ドロドロの悪意に、人はどう立ち向かう?被害者家族に悲劇の連鎖も。事故で視点と話の展開が変わる。事件の闇を伝えることと行き場のない怒り。犯人のアジトはどこに?武上は「建築家」の協力により推測する。不満は犯人が持つ心の闇が描けていないこと。そしてお見合いなど大長編なのにご都合主義な点。宮部ということでレビューが辛口になるのは仕方ない。何年か後に文庫本で再読するはず。映画はある意味で喜劇(笑)。観ないほうがいいかも。
2020/07/09
優希
見てきた事実が物語の中で集約し、登場人物たちも徐々に気づいていき、明らかにされていくのが気持ち良かったです。1つのスイッチが入ることで完璧に見えていたものが壊れていく。その壊れたものがパズルのピースのように真実にはまる瞬間が味わえるのが醍醐味だなと思わずにはいられませんでした。ただ、全てが解決したと思っても関係した人たちの不幸や傷が癒されることはないのが悲しいところです。それぞれに事件の見方や真実がある。爽快感と共に切なさも感じました。
2017/02/06
とも
朝の早くから読み始めて、日付が変わるくらいに読み終わった。 途中買い物に行って、綺麗な女性を見ると、自分の暗黒面が見えて後ろめたい気分になった。 どんな理不尽なことがあっても、 自分ができることを、地に足をつけて、地道に、コツコツ。 積み重ねていくしかない。
2021/09/02
再び読書
模倣犯の意味が最後にやっと明かされる。ピースこと網川浩一の人格の壊れ方が尋常では無い。その上並外れた頭脳があるだけ、闇は深く重い。高井由美子の最後は何とも物悲しい。この長さでも胸糞悪いが読み進めさせる宮部氏の筆力に圧倒される。やはりベストセラーとうならせる。しかし、小説に対して映画のクオリティーの低さは目を覆う様だ。映画を先に見た為、読むのをためらわせた罪は重いのでは?映像化が本の邪魔をした顕著な例でした。また、少し時間をおいて宮部氏の長編を読んでみたいと思います。
2017/05/22
のっち♬
今作の犯人像は愚かさや幼稚さを際立たせた平坦な造形になっていて、その掘り下げの浅さが結果的に彼の言動の説得力を下げている。慈子の挑発に簡単に乗ってしまうこのあっけなさ、サスペンスとしては尻すぼみなのだが、声紋や携帯ネタを使わずにあえて彼女に「模倣犯」と呼ばせる点に作品の趣旨を感じた。それ以上に読ませるのが、義男の「世間を舐めるんじゃねえよ。世の中を甘く見るんじゃねえ」と犯人に言い放つ場面や泣き崩れる場面、著者が最も描きたかった部分ではないだろうか。上巻で勝ち気だった由美子の変貌ぶりは少しやり過ぎだと思う。
2021/01/30
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