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弥勒世(みるくゆー) 上

弥勒世(みるくゆー) 上

弥勒世(みるくゆー) 上

作家
馳星周
出版社
小学館
発売日
2008-02-21
ISBN
9784093797825
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弥勒世(みるくゆー) 上 / 感想・レビュー

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えみ

鬱を憤怒の炎の燃料にする。全てをなめつくす業火を生み出す過程を見せられたかのような一冊。肝に銘じて読まないと火傷じゃすまないダメージを負うかもしれない。本土復帰前の沖縄。途轍もない憎悪は熾火となり至る所で燻ぶり続けている。人種差別に部落差別、薬物に売春、そして米軍問題。暗い歪みが沖縄の抱える複雑な状況を象徴している。伊波尚友、彼も差別を受け施設で育ち、破滅的で鬱屈した思いを抱え、嫉妬と矛盾に生きている。うちなーんちゅに怒り、アメリカ―を憎み、やまと―んちゅを嫌悪し続ける。彼の闇が何を生み出すのか。下巻へ。

2020/08/09

ねこまんま

沖縄のことって本当に不勉強だわ。単純に日本返還は沖縄県民の悲願だったと思っていたんだけど、当時のうちなーんちゅの本音は実際のところどうだったんだろう。離島が差別されていたとか全然知らなかったし、愕然とする内容です。下巻へ続く。

2016/04/11

James Hayashi

沖縄本土復帰前の基地周辺。黒、白、黄色人種が入り混じり鬱憤を溜めている。麻薬、売春、暴力などもあるが、根本には差別意識が漂っている。市民は米軍に不満を募らせているが、日本政府の対応にも憤慨。少数の人たちは米軍追放の動きで立ち上がる。上巻はベトナム戦争、コザ暴動を下敷きにじっとりウチナーンチュの様子を描く。長さを感じさせない読み応え。下巻へ。

2016/01/18

そうたそ

★★★★☆ 米国から日本に返還される前夜の沖縄。教科書的な知識では、沖縄返還という出来事はさも喜ばしい出来事であり、輝かしい歴史であるかのようだが、現地の人々にとっては米国に支配されるも地獄、返還され日本の統治下になるも地獄かのような状況であったという苦しみがあった。どうにもならぬ怒りと憎悪が暴発寸前の当時の沖縄の喧騒にまみれた状況が極めてリアルに描出されている。上巻はなかなか話がのってこなくて辛いが、下巻からは馳作品らしい圧倒的なスピード感で話は進む。知っておくべき歴史として本書は読んでおきたい。

2020/09/28

たみ

ベトナム戦争を背景にアメリカから日本へ返還直前、狂瀾怒濤の沖縄の地を舞台に、離島出身の主人公:尚友、幼馴染の政信、仁美を軸に個の憎しみ・蔑み・愛情を丁寧に描く。民主化運動、反戦運動、運動つぶしにスパイ、復帰運動、沖縄独立運動、様々な立場の人々の差別・思想・利権や思惑が入り乱れ倦みも漂う。美しいだけではなく、可哀想なだけでもない、希望も醜さも内包する沖縄。尚友も政信もどこへ行ってしまうのか。下巻へ急ぐ。

2016/04/06

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