小倉昌男 祈りと経営: ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの
小倉昌男 祈りと経営: ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの / 感想・レビュー
遥かなる想い
第1回(2017年)大宅壮一日本ノンフィクション大賞受賞。 2005年に他界した「宅急便の父」と呼ばれる ヤマト 小倉昌夫のもう一つの物語である。 規制緩和のために 官公庁と闘い、伝説の 名経営者と呼ばれた小倉昌夫はなぜ 私財を 投げうって 福祉の道に突き進んだのか? 丹念な取材の先に突き当たった真実とは? 長年秘めていた家族への想いが 行間から 溢れ出て涙を誘う.. 人の生き様に心が 感動し魂が共振するような そんな本だった。
2017/05/28
Kawai Hideki
感動して一気読み。「宅急便の父」が晩年に立ち上げた社会福祉事業について、その動機を丁寧に読み解いていくドキュメンタリー。夫婦ともどもクリスチャンだった小倉が、妻の死をきっかけに北海道の小さな教会に寄付をする話から始まる。その動機に小さな違和感を持った著者が取材を進めるにつれ、小倉家の深刻な家庭問題と、妻の死の真相まで暴く事になる。ゴシップ趣味の本かとも思ったが、小倉昌男の背負った苦しみを描ききることで、彼の信仰の真実さ、父親としての愛の深さが際立っている。満場一致で小学館ノンフィクション大賞受賞も納得。
2016/08/24
きむこ
小学館ノンフィクション大賞受賞作。宅配便の生みの親の小倉昌男が私財46億円を投じて作った福祉財団。晩年の彼がなぜそこまで福祉活動にのめりこんだのかを丁寧に取材。現役時代は運輸省や郵政省相手に真っ向から対決し宅配便というシステムを社会に浸透させた経営者。ここに描かれている彼は熱心なクリスチャンで、妻を愛し娘を愛し・・そして『障害者が月に10万円稼げる場所を作ろう』と奮闘。正直ここまで書かなくても・・とも思ったが読み終えた今は『小倉昌男』が立体的に見えるようになり、より魅力的になった。★4.5
2016/06/27
おさむ
家の近所にスワンベーカリーがあり、障害者の人達が働いている。そこが、クロネコヤマトの財団の支援で運営されているとは初耳でした。名経営者の小倉さんが実は家庭で苦労を重ねていたという新たな事実を、家族らへの綿密な取材で掘り起こした力作。第22回小学館ノンフィクション大賞。
2016/05/24
hatayan
クロネコヤマトの宅急便を生み出したヤマト運輸の経営者・小倉昌男の評伝。国の規制と戦い事業を成功に導いても家庭は不安定で娘のわがままに手を焼く状態。晩年の小倉が福祉に傾倒したのは、障害者を支えると同時に、家庭を安定させることができず悩み続けた自分自身の救済という意味合いがありました。最終章では娘が病から回復し父親と和解したことが記され、小倉が人生の最期を娘の暮らすアメリカで過ごそうとした冒頭のシーンとのつながりが明らかになります。希代の経営者を一人の親として描ききり、理想の人生とは何かを考えさせる一冊です。
2021/01/24
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