千の花になって
千の花になって / 感想・レビュー
tokotoko
読んでみたいなぁ!って思っていた作家さんの本は、文体にもクセがなく、すごく読みやすかったです。舞台は横浜。戦争の色がどんどん濃くなっていく中で出会った2人の女性の物語、だと思います。お話のテーマも、提起してくれる価値観も、読む人に委ねてくれるような、懐の大きな作品でした。今は普通に口に出せる「願い」。それが言えなかった時代があったってことが、すごく悲しかった。けれど、言えなくても、人は「願い」を胸に生きてるもんだ、ってことを教わりました。それが何だか悲しいけれど誇らしいというか、すごいなぁって思いました。
2016/01/11
むぎじる
終戦前後の横浜が舞台。真砂代は、考えと行動が伴わない煮え切らないタイプ。戦時中でも生活スタイルを変えず、自分の生きたいように生きる貴子。真砂代は、貴子からは自分を持って生きることを教わり、祖父の虎吉からは自分も相手も思いやる気持ちを教わり・・・生きることに追われながらも、心を失うことはなかった。生きるよすがとなるような貴重な出会いと、真砂代の成長がよかった。
2013/11/06
takaC
悪くないけど、たった10usersですか… 第九回小学館文庫小説賞受賞作だというので、かなり探して見つけて読んだのですが。
2011/03/07
オリーブ
斉木さんの本は数冊読んだけど、それまでのハラハラした感じはなく戦争中の一般庶民の生活が淡々と語られていた。主人公真砂代の見合い相手が恋い慕う女性、貴子。そんな嫉妬めいた気持ちを抱くことになった対象の貴子の家のお手伝いとして働くことになり複雑な気持ちを抱くことになる真砂代。この二人の女性の会話のやり取りによって真砂代は当時の多くの日本人の考え方とは正反対である独自の考え方をもった貴子に惹きつけられる。そして時が経ってエピローグで貴子の痕跡を必死に探し続けた真砂代の現在の様子に感慨深いものを感じた。
2015/08/08
ちょん
★終戦間近の横浜での話。先に読んだ凍花とはまったく違う作風。「自分は雑草。みんなが自分を踏みつけても何も思ってくれない」と自分を見ている真砂代。ちょっとしたきっかけから、自分の信念を強く持つ貴子と知り合い、反発しながらも強く惹かれていく。終戦に向かうとともに真砂代が強い女性に少しづつかわっていく姿が心地よい。虎吉じいちゃんも好き。
2011/11/23
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