転生回遊女
転生回遊女 / 感想・レビュー
nyanco
小池昌代さんの初の長編小説、『タイトル』も装丁も素敵なので期待は膨らむ。でも…、う~ん。植物と交わる桂子は、とても魅力的なんだけど桂子が次々と男と関係を持つ訳がわからない。母と桂子、女優という仕事に絞って描いていたら、そのあたりが納得できたのかなあ。魅力的な登場人物の誰にも同調出来ずに終わってしまった。小池さんとの出逢いは『ことば汁』。脳みそのなかに棒を突っ込んでグルグルと描きまわされるような感じが衝撃的だった。あの感じがないのがとても残念。
2009/12/20
プクプク
突然の事故で母をなくし一人になった17歳の桂子。母と同じ道を歩き始める。読んでいると彼女が17歳だったことを忘れ、母の年齢くらいのように感じる。母と娘は樹木で繋がっているようだ。垂れ下がった気根を持つガジュマルやハイビスカスの雄しべ、大イチョウ、フクノキ、アロエベラ…樹木は妖艶な姿であることに気づく。男を魅了し、すぐに繋がる女性を軽く描くでもなく、小池昌代の文章にによって不思議な空気感にしたてあげられ読む人をその世界に引き込まれてしまうように感じた。
2014/09/23
仮ッ子
出会ってすぐ男たちと交合する桂子に、いつもの自分ならば嫌悪して本を閉じてしまっただろう。空っぽの器である桂子が、いつか満たされる日が来るのだろうか…と悲しみを感じながら頁をめくり続けた。男たちの誰も、桂子に痕跡を遺すことは出来ない。自由?孤独?それは幸せなことだろうか。だが、桂子自身は透明なまま、そんなことも意に介さず転がり続けるのだろう。
2010/01/04
のん
小池さんの書く文章から匂いたってくるように感じられる、浮世離れした空気にぽーっとしてしまった。桂子が設定の年齢よりも大人びて見えることにも、その一因があるように思われる。まだ未成年。でもまるで40代くらいの女に思われる瞬間すらある。だけど、ふ、と気付く。伊那と知り合い、伊那と向き合うようになってからの桂子は、女であるが少女だ。年相応の。奔放に、これから生きていかねばならぬ地面のその先、その先へと、水分養分を求めて根を伸ばしていっているのか。ひょっとしたら彼女の母もまた、そうだったのかもしれない。
2011/03/04
ざれこ
官能的なのだがすごく透明な印象を受けた。登場人物が多すぎる気がしたが、彼女の前を通り過ぎる男が多ければ多いほど、彼女の自由さや透明さが際だつ気もした。言葉が選び尽くされ、文章が本当に美しく、するすると抵抗なく入ってくる。でもなんか、あまりにも自分の世界と遠すぎて、おとぎ話みたいだったな。感情移入とか共感とかはなかった。綺麗だったな、とは思うけど。
2010/01/17
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