南下せよと彼女は言う: 旅先の七つの物語
南下せよと彼女は言う: 旅先の七つの物語 / 感想・レビュー
ミカママ
タイトルがいい。蓋を開けてみれば、ヨーロッパ主の旅に絡めた人生の切り取り、とこれまた好きなタイプであった。玉青さん、歴史だけでなく美術にも造形が深いのだな。この夏日本で観たクリムトの「ベートーヴェン・フリーズ」にそんな背景があったとは。もちろんただの紀行集ではなく、そこには男女の裏切りあり、不倫あり、で読み応えある一冊になっている。ラストのハワイだけちょっと異質だが、「南下」だけに必要だったのか。
2019/09/10
アメフトファン
2013年最後の本。色々な国での様々なエピソードが良かったです。特に印象に残ったのが最後の章の「永遠の一日」。私自身も帰国子女で幼い頃を過ごしたシアトルをたまに思いだします。仕事で久しぶりにシアトルに戻った時にあの頃の友達はどうしているかな~と思い出しました。この話のようにあの頃とみんなと会えたら感慨深いでしょうね。スペインを旅する話は少しさびしかったです。妻とは出来るだけ色々なところに行きたいなと改めて思いました。
2013/12/31
ヨミー
初読みの作家さん。主にヨーロッパの国別の旅をしているかのような肩の力を抜いて読める素敵な短編集。行ったことのある国の話は当時を思い重ねながら、行ったことない国は旅しているかのような楽しい気持ちになれた。主人公達が旅行をした後の少しだけ前向きな気持ちになっている感じがする。久しぶりにヨーロッパ方面に行って美術館巡りしたり、ゆったりカフェしたり、買い物したり、観光したりしてみたくなりました。
2017/02/02
nemuro
図書館本。たぶん、初遭遇の作家。市立富良野図書館では、「どくしょのきろく」(形状は銀行の通帳とほぼ同じ)のサービスがあり、その都度、備え付けのパソコンで印字(記帳)できて、年月日、書名、著者名が記録される。ちょうど私が富良野に住み始めた2017年にサービスが開始され、当初から利用していて現在2冊目。それによると本書は3回の延長(つまり8週間)を経ての読了。タイトル通り順番に欧州を南下しているのかと思いきや、最後は飛んでハワイ。どうやらスペインが舞台の6編目、「南へ・・・!」からのタイトル決定だったようだ。
2020/12/26
Kumiko
ちょっと硬めのタイトルとは非なる、リラックスして読める短編。それぞれの主人公が事情を抱えて、かねてより訪れたかった地へ旅をする。一番心に沁みたのは「南へ…!」の、連れ添った妻を亡くして、スペインを一人旅する男性の話。妻が行きたがっていたスペインを代わりに訪れ、心の中で妻と対話しながら弔う。旅で新たに得た美しい感慨と、悲しい思い出がないまぜになり、時折涙する主人公…思わずもらい泣き。私が死んでも夫にこんな弔い方をしてほしい、と思ってしまった。寝る前に読んだら素敵な夢が見られそうな一冊。
2016/08/22
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