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通り魔

通り魔

通り魔

作家
嶽本野ばら
出版社
小学館
発売日
2014-11-26
ISBN
9784093863919
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通り魔 / 感想・レビュー

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風眠

ショッピングモール、幸せそうな家族、買い物を楽しむ女性、「もう充分楽しんだだろ、幸せ満喫したよな、だからもう死んでもいいよな。」って、唐突に無差別に人を刺していく少年。ニュースが伝える「あまりにも身勝手な通り魔」は、実は私達も含めた社会の構造が作り上げてしまったのではないか。コミュニケーション障害を抱えた少年への差別、親さえも彼を見捨てた。働く場所もないネカフェ難民の少年がふと気付く。自分は哀しく寂しいのだと。その気付きから凶行に至るまではあっけないくらいに簡単。通り魔になった少年は、今の日本のリアルだ。

2015/02/07

ゆみねこ

嶽本のばらさん、初読み。コミュニケーションに障害を持つ井吹が、どうして凄惨な事件を起こすに至ったか。本人が語ると言う形で進むストーリー。どこかで井吹の苦悩を受け止めてくれる人が居たら彼は踏みとどまることが出来ただろうか?社会の不条理を突き付けられた。

2020/12/05

ユザキ部長

コミュニケーション障害。僕という萌芽には予め黒い太陽に向かって進むだけの運命なのか。座敷牢に閉じ込めておけばいい?人権も糞もない?日雇いから斡旋された工場ではガラクタ、人間廃棄場呼ばわり。追いつめられて追いつめられて。行着く先は手にしたナイフ。気に入らないから殺す。読み終えて我が娘を沢山愛そうと思った。

2015/01/07

miww

主人公のコミュニケーション障害の少年の一人称の淡々とした語りで物語は進む。読んでいて苦しい。真面目に働きたいという本人の意思ではどうしようもなく、その障害とほんの少しのズレから転落の一途を辿る姿は怖くてたまらない。派遣、ネカフェ難民、SNS詐欺、これが日本の闇の世界なのか。人が壊れていく様がリアルに描かれたとても考えさせられた作品。

2016/08/23

あも

読む前から分かっちゃいたけど救いは皆無。コミュニケーション障害を抱え、縫製工場で働き始めた少年が不運と幾ばくかの自業自得とで止めようもなく落ち続けていく。終始、主人公が読者に語りかけているような、もしくは最後の瞬間の前に長い独白をしているような形式で書かれているため、臨場感にあふれている。潔いタイトルの通り彼は罪を犯す。しかし本書は許しを乞う物語ではなく、母親を友人を底辺に墜ちた彼を搾取した社会を糾弾するものではない。ただ生きていただけでこうなった。だから、最後の言葉が発される。それが心に重くのしかかる。

2020/02/21

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