空に牡丹
空に牡丹 / 感想・レビュー
いつでも母さん
読後は穏やかな私がいた。たまにはこんな作品も良いなぁと素直に思わせてくれた1冊。花火師の話だとばかり思っていたら・・(笑)でも、イイ!夏の夜空でも、厳寒の冬の凍てつく夜空にも花火は合う。花火道楽の静助さん。こんな男が一人くらいいても良いなぁ(身内は困るか?)日本人の大好きな『花火』これはちょっと癒され、ちょっと切なく、そして優しいお話だった。タイトルも良い!
2015/10/28
おくちゃん🍎柳緑花紅
可津倉静助さん、初めてここでお会いした名にし負う道楽者。花火に魅せられ花火道楽。財産をつぎ込む。自分の為、村人の為、家族の為。愚かな人と言うなかれ、語り継がれる人柄に皆が笑顔に、そしてあのときの花火を思い出す。実際に見た人も見なかった人も。明治の一時代花火道楽を極めた静助さん。空にも人の心にも大きな鮮やかな花を咲かせた。「せっかく生まれたんだもの、生きてるうち綺麗なものをたくさん見たいよなぁ」
2016/09/10
なゆ
こういうじんわり来る話、好きだなあ。偉人でもないのに一族に語り継がれ続ける静助さん。時は明治、〝ご一新〟で混乱する世の中で花火に出会い、魅せられ、花火道楽となってゆく。そう、花火師ではなく、お金をつぎ込む花火道楽なところが面白い。〝大きな花火を、空に。この世の虚しさを美しさに変えて、花火は空に消えていく。だから花火が好きなのだ。〟静助さんがひたすらに追い求め、上げ続けた花火は、たくさんの人たちの心に焼き付いてゆく。幼なじみで対称的な性格の了吉や琴音たちとの関わりも温かい。なんだか無性に花火が見たくなった。
2015/10/27
くろにゃんこ
明治を生きたご先祖様、静助さん。今だに語られる彼の話・・・マイペースで好きな花火に執着し、色々とあって財を無くしてしまうも不思議と周りに助けられ生きていく様子。特に何か凄いことをしたわけではないのに呆れながらも親しまれる不思議なお人柄でした。空に打ちあがる花火を見た時にきっと思い出すでしょう、静助さん(笑)
2015/12/14
Ikutan
明治に入り、世の中はご一新。江戸から名を変えた東京が賑わっている頃、小さな村に一人、花火に魅せられた男がいた。彼の名前は静助。大地主の次男坊。物欲も出世欲もなく、ひたすら花火に私財を投じる道楽者。小さな村に隅田川の花火に負けず劣らずの花火を打ち上げたそれは、天晴れな人生。何とも不思議な人ですね。幼馴染みで、対照的な商才溢れる了吉やしっかり者の琴音、花火師の杢さんや藤太。脇役たちが、また個性溢れていて、静助の人生を彩る。読みやすく美しい描写。鮮やかな打ち上げ花火に穏やかな静助の笑顔が浮かぶ素敵な作品でした。
2015/11/19
感想・レビューをもっと見る