ショートショート千夜一夜
ショートショート千夜一夜 / 感想・レビュー
ちょろこ
不思議な神社の物語、の一冊。これまた寝る前のお供に最適なショートショートストーリー。多魔坂神社の提灯がポッと灯り始めたらそれはまるで不思議な時間が始まる合図。灯りが誘う、幻想的で夢か現か惑わされる世界は心地良さ伴う現実逃避の時間を味わえた。お祭りや蚤の市、そこから拡がる奇抜な発想、特に言葉から拡がる発想が面白い。もちろんオチも。ちょっとコケるようなオチ、え…っというようなオチ、微笑ましいオチ、その後を想像したくなるオチとバラエティに富んでいて楽しめた。静かな余韻を残す「さくら隠し」がお気に入り。
2022/02/14
ままこ
祭りは一種の異空間。ショートショートの名手が紡ぎ出す世にも奇妙な物語。きっかけは多魔坂神社で行われたお祭りや妖しげな蚤の市。灯りをつかさどる神様のお話でオチもユーモラスな「燈明様」とこんなの欲しいな!素敵な「雨ドーム」が好み。「獅子舞の夜」はもう完全なるホラー。ラストの「さくら隠し」は恒川光太郎さんの作品を思わせる切なくも美しい幻想的な余韻を残す。
2022/02/04
itoko♪
田丸さん初読み。夏祭りにちなんだショートショート。不思議だったり、小気味良かったり、薄ら寒くなったり…夏の終わりを惜しむような、物悲しさの漂う世界観でした。ホラーチックな『ストライプ』『人面屋』『さくら隠し』が好みです。
2016/09/01
そうたそ
★★★☆☆ 今回は「祭り」をテーマとしたショートショート集。割と刊行ペースが早いが、これほどコンスタントにショートショートを生み出せる才能も凄い。一つ一つのアイデアは些細な言葉遊びや、発想の転換からであったりするのだが、そこからストーリーを膨らませショートショートとして成立させてしまえるのが素晴らしい。「祭り」というテーマに似合うファンタジックで幻想的で時に叙情的な味わいに溢れる作品が揃っている。読みやすく帯にある通り、まさに一つに五分とかからない時間で読めるので、ちょっとした時間にでも是非。
2016/09/27
九月猫
多魔坂神社のお祭り、蚤の市を舞台に描かれる不思議な夜、不思議なお店。ほんわか・くすくす。そこにぞわぞわ~が混ざる。ちょっぴり怖いお話がいくつか。アンパンマンが苦手な私、非常に怖いというか、イヤだったのは「粉もん体質」。同じような感じで「皮財布」も。ひとつ欲しいな思うのは「雨ドーム」。ぜひとも近所に店開きしていただきたい「絵描きの八百屋」。これからお祭りに行ったら、夜店の橙色の灯に照らされた顔がいつもと違って見えたり、明かりの届かない境内の隅っこの暗闇が気になったりするかもしれません。
2016/08/29
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