雨利終活写真館
雨利終活写真館 / 感想・レビュー
いつでも母さん
気になる作家の最新作。なんだ、これは!いままでの芹沢央じゃない。だけど良い!葬儀用ではなくても、事件事故の際の写真にとても年代の違う写真を宛がわれる事があり違和感を抱いていた。最期の写真なら尚更だろう。どんなに年老いていても『その人』を感じる遺影がいいな。しかも、この雨利写真館は遺影だけじゃない。見えなかった、見えていなかった思いも掘り出して?くれるのだ。ちょっとほろ苦く優しいのが良い。シリーズ化してもイケルと思うので、続編希望したい。雨利の事はまだまだ謎でしょう。しかし、人の数だけドラマはあるなぁ。
2016/12/20
しんたろー
芦沢さん6冊目。遺影専門の写真館で起こる人情ミステリが4話の短編集…ドキッとする心の闇を後味好く昇華する作品が多い印象だが、本作はその特性が薄い感じがした。主人公・ハナ、写真館のメンバー、客たちが繰り広げるハートウォーミングな話なのだが、人物も話もサラッと描いていて「もっと掘って欲しいなぁ」と感じたのが正直なところ…題名にもなっている雨利がカメラマンとして登場しているが、彼ならではの活躍がないのが弱く感じてしまう点だろう。シリーズ化の要素が多いのに惜しい作品だが、ハナと一緒に「終活」を考えてシミジミした。
2018/09/10
おしゃべりメガネ
我ながら意外にも初読みの芦沢さん作品です。へヴィな作風のイメージな作家さんですが、本作はたまたまなのかなかなかシブい人情ミステリーでした。4話からなる連作集で、それぞれに自分の最期の姿を残そうとする想いに色々と深く考えさせられました。極端なコトになってしまうかもしれませんが、いつ何時自分の最期が唐突に訪れてもいいように1日1日をしっかりと歩んでいかないとなりませんね。決して死を待つのではなく、そして向かうのでもなく、しっかりと受け入れるコトが大切なのかもしれません。人間、やはり’後悔’はしたくないですね。
2018/06/17
yanae
初作家さん。「生前遺影、終活」をテーマにしたちょっとしたミステリー。最初は祖母の遺影を撮ってもらった「ハル」が利用者として訪れるが、訳あってそこで働くことに。利用客のちょっとした謎を、雨利写真館のメンバーで解き明かす。お店を出る頃には皆ちょっと幸せになっている。終活だから、どうしても作中に死の影はあるんだけと、個性的なメンバーの明るさで楽しく読み終えました。最終話でハルがしたことは、個人的には本当に許されないと思う。そこだけはとても嫌な気持ちになりました。結果的には収まったかもしれないけど…(T-T)
2017/05/17
紫 綺
遺影用写真を専門に扱う雨利終活写真館を舞台、様々な謎解きを綴る連作短編。一貫して主人公ハナの心情が根幹に通っているので、長編のように読める。心地良く騙された。
2017/02/17
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