燃えよ、あんず
燃えよ、あんず / 感想・レビュー
いつでも母さん
「人を幸せにできれば、あとはどうだっていい。そうやって生きようよ。」桃子の言葉だが、実際はこれがなかなかに難しい事なのだ・・タイトルは何?と思ったらほほぅ、室生犀星と来ましたか。初読み作家さん、もやもやして、遅々として進まぬ展開にちょっとイラッともしたが怒涛の後半に、この愛すべきぽんこつ達にやられちゃった感です。参ったなぁ。読後感も良い。久美ちゃんもみんなも幸せにな~れ!
2018/11/30
シナモン
下北沢にある本屋「フィクショネス」の常連客、久美子の人生を軸に描かれる人生の悲喜こもごも。不思議な読み心地だったけどとても面白かったし、登場人物たちが真摯に人生と向き合う姿に胸が熱くなりました。人生の味わい深さを感じられる一冊でした。
2022/05/30
モルク
下北沢にある小さな書店フィクショネス、読書会の他に将棋やチェスに集まってくる常連さん。新婚の夫を事故で亡くした久美ちゃんが夫の実家奈良で暮らしていたが十数年ぶりに戻ってくる。そこで優樹と出会い恋が始まるがずっと施設で育った優樹のコンプレックス、お互いの親との関係が暗雲をもたらす。書店主オサムの人はいいがポンコツぶり、妻桃子との掛け合いが面白い。悪意の塊由良も善良な人々の中では空回り。何が「燃えよ、あんず」なのかと思ったら室生犀星の詩なのね。
2022/10/15
はる
小さな書店の店主と風変わりな常連客たち。一見すると落語の長屋もの風の人情物語。でも他人を不幸にすることに執着する異常性癖者が出てきたり、突然三人称に変わったり文体を変えたりする。さらに最終章でそれまでの物語の印象をひっくり返すような硬質のドラマを描きだす、ちょっと一筋縄ではいかない小説。作者は実際に書店の主だそうで、時々妙に私的な描写があるのはこのせいか。面白いといえば面白いのだろうけれど、インテリ臭が鼻につく感じが何とも。
2019/01/05
ぶんこ
厚ぼったい本でしたが、最後まで一気に読めたので面白かったとは思うのですが、なんだかモヤモヤ。原題が「ポンコツたち」というらしいのが他の方々の感想で知ったのですが、確かに色んな面で「ポンコツ」っぽい書店主オサムさんと妻桃子さん。常連客のピンキーちゃんやキタノさん、極め付けの由良さん。出てくる人皆がある意味愛すべきポンコツ部分があって楽しめたのかな。久美子さんと優樹さんがすったもんだの末無事結婚式も挙げられたし、おかしな獅子虎さんの人物像も最後にわかって、愛すべき人だったというオチも良かったです。
2019/11/30
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