海とジイ
海とジイ / 感想・レビュー
starbro
書店で気になり読みました。現役看護師作家、藤岡 陽子、初読です。美しい海辺、島(海)と祖父(ジイ)がテーマの連作短編集、読み終わると温かい気持ちになります。オススメは『波光』です。
2019/04/09
ウッディ
いじめで登校できなくなった小学生、足の故障で最後の駅伝に出場できず進路に悩む受験生、瀬戸内の島の祖父を訪ねた彼らにジイが残した言葉とは?長い間に多くの事を経験し、悔いもあった彼らが、将来ある子供たちに遺す言葉は、まっすぐに心の大事なところにストンと収まるような気がします。「夕凪」だけは、老医師と看護師との話で、少し雰囲気は違うけど、いずれも、ささくれだった心に穏やかで優しく染み入るような良い話でした。歳を重ねることで、身体は衰えても、心は強くなっていく、そんな人間力を自分も身に着けたいと思いました。
2019/08/27
yoshida
瀬戸内の島を舞台に、人生で躓き悩む人々が救いを見つけ歩き出す短編集。三編の作品で構成。三人の魅力的なジイが登場します。特に「夕凪」と「波光」が印象深かったです。「夕凪」では看護師として勤務する志木と先生の日常と何気ないやり取りが、柔らかな空気間を出していました。志木にぶら下がる男への先生の言葉が静かな重みがある。「波光」では陸上で挫折した少年が祖父に会いに行き、その半生を知る。前向きに歩き出す少年の姿が清々しい。三編の短編がリンクしており、小さな繋がりを発見をするのも楽しい。暖かな読了感を得られる作品集。
2019/05/19
しんたろー
瀬戸内海の小島を舞台にした3編の心温まる物語…『海神』不登校の少年が曽祖父から聞いた祖父の話『夕凪』高齢の医師と長年一緒に働いた看護師の話『波光』挫折した高3生が祖父から聞かされる昔話…どれも藤岡さんらしい温かみある文章でシミジミと響いてくる。特に『波光』で描かれている友情は忘れていた何かを思い出させてくれるようで胸が熱くなった。「人生は短いぞ。今日一日を限界まで生きろ」という台詞が説教臭くなく感じるのは、愚直だけど誠実に生き抜いたジイの言葉だからだろう。そんな事を胸を張って言えるジイに私もなりたい。
2019/06/06
kanegon69@凍結中
この本の3つの話にでてくる3人の老人、あぁ、本当に素敵な老い方だなと思いました。どんなに頑張ってもきっと後悔のない人生なんてないんだと思います。人生生きていれば、苦しいことだらけ。でもこうやって人生の最期を過ごす時、去来する思いに素直になって生きぬけるというのは幸せなことだなと思います。私もそんな最期がいいなぁと思わせてくれました。3話とも素敵だったのですあ、最終話の「波光」が、全部を総括しているような感じがして、胸の中がとても熱くなり、気が付いたらじんわりと泣いていました。本当に温かい物語でお薦めです。
2019/08/13
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