口福のレシピ
口福のレシピ / 感想・レビュー
starbro
原田 ひ香は、新作中心に読んでいる作家です。本書は、レシピ歴史家族小説の佳作でした。料理上手の女性と暮らしてみたい。毎日美味しい料理を食べられるのは、幸福なんでしょうね。 https://www.shosetsu-maru.com/node/2013
2020/09/10
いつでも母さん
心をほぐす”家庭料理”小説とある。どれもこれも私の摂食中枢を刺激する。料理研究家・留希子と実家・老舗料理学校を経営する母と威厳ある祖母の確執が縦糸で、昭和2年に遡り『山田しずえ』と言う女性の生涯が緯糸の時代を超えた女性たちの物語。ラストに心熱くなる原田ひ香さんお見事。何気なく食してきた料理は古から連綿と、またその時々で人々の口に合うように変化して今日まで伝わっているのだなぁと、あらためて感じ満たされた思いで読了した。
2020/09/11
ノンケ女医長
山田しずえは、17歳で女中になった。主人の期待に応え、素敵なレシピを完成させた。子どもを産んで欲しいと懇願され、拒否できなかった優しさ。実家の父親から「妾にやるために、学校へやったわけじゃねえ」と、拳固で殴られ絶縁。お腹を痛めて産んだ娘とは、何十年も対面できなかった。訪ねてきた孫夫婦を料理でもてなすが、二人はほとんど箸をつけない。それでも「会いに来てくれた」と、しずさんは嬉しそうに一人でご飯を食べている。「しずえは我が家の福の神だ」と言う主人が、妾家まで会いに来るのは年に数回。しずえは、本当に幸せなのか。
2024/10/27
モルク
昭和初期料理学校を営む家で奉公しているしずえと、令和の時代実家の料理学校の跡を継がず料理研究家となった留希子が交互に描かれる。この2つの話があるレシピで繋がり最後にはちょっとホロリとするあたたかい話となる。留希子が気づいた愛の新たな展開にも期待するし応援したい。以前はたいていの家にその家庭の味があった。母の得意料理を受け継いだり、どうしても越えられなかったり…でも最近は簡単な調味の素やレトルトも多く結構冷凍食品も侮れない。娘に伝授したくとも、COOK〇〇〇を見るからいいと拒まれる。母はちょっと寂しい。
2021/08/15
のぶ
原田ひ香さんの本は数冊しか読んでいないが、いずれも料理をテーマにしたもの。物語は二つの部分からできている。令和の時代にフリーのSE兼料理研究家として働く品川留希子はSNSでの発信をきっかけに雑誌からも仕事の依頼が来るようになり、料理研究家としての認知度を上げていた。一方、昭和の初めに品川料理教習所に女中奉公に来ていたしずえは料理と格闘していた。SNSで反響を広げていく留希子の気持ちはよく伝わります。楽しいでしょう。しずえの健気さも応援したくなります。二つの話が出会った時、なんとも温かいものが伝わってきた。
2020/09/17
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