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道

作家
白石一文
出版社
小学館
発売日
2022-06-28
ISBN
9784093866491
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道 / 感想・レビュー

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starbro

白石 一文は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書はタイトルからは想像出来ませんでしたが、骨太のパラレルワールド・タイムリープ家族ドラマの大作でした。ロシア人画家 ニコラ・ド・スタールの絵画作品『道』を観ると何か起きるでしょうか❓ https://shosetsu-maru.com/interviews/authors/kshiraishi_michi

2022/08/09

パトラッシュ

タイムリープとパラレルワールドを利用できる男が娘を失う不幸から抜け出した先で、今度は妻の不倫と本当に愛する女性の死にぶつかる。周囲の幸不幸にも微妙な差異が生じ、前世では何ともなかったことが悩みや痛みの原因となってくる。またタイムパラドックスを強制排除するため、それまでいた世界に残された人が気になってしまう。望んでとはいえ時間と空間の複雑な混迷に翻弄されながら、針の穴ほどの隙間を辿っても全員を幸せにしようとあがく姿は痛々しい。人生の幸福と不幸は等量であり、人は選択肢の多さを利用できないと思い知らされるのだ。

2022/09/06

いつでも母さん

はぁ・・疲れた。『あれ』が気になって読むが、こう言う話だったか。この世界も前の世界も、前の前の世界も…えぇぃ、もうなんでもありだな。そんな読後感。そりゃ時々、あの頃の世界に行きたいと強く思うけれど、ここでいい。色んな思いを飲み込んで、嚙み締めて…私はこの世界で生きて行くんだ。

2022/07/20

とん大西

滅法面白い!話題の「ブラッシュアップライフ」とは一味違うパラレルなタイムリープにソワソワが止まらない。こちらは家族のあるべき姿を模索するビターな物語。娘の美雨は不慮の事故死。それを境に妻の渚は自殺未遂を繰返す鬱病に。溌剌と働いていた碧も姉渚の介護で摩耗。こんなはずじゃ…心身ともに行き詰まった功一郎が選択した道。あぁ、あぁ…。一度失くしたものを取り戻した喜悦。噛み締めたその先の新たな喪失。交わっていた世界線はすれ違い、傍らにもなかった世界線が交錯する。哀しみの総和がもたらす人の世の理不尽さ。呑まれましたゎ。

2023/03/02

ウッディ

高校入試で失敗し、絶望に暮れ、試験会場にもう一度戻りたいと強く願った功一郎は、スタールの『道』という絵に吸い込まれるように時を遡ってから40年、愛娘を事故で失い、妻も精神を患った今、もう一度、「あれ」を試みる。命を救った娘と元気な妻がいるもう一つの世界にも、違った形の不幸はあり、自分が消失した前の世界が気になり始める。あの一瞬に戻って人生をやり直したいと思うことがあっても、それを実行に移そうとするほどの絶望を経験したことがない自分は、とても幸せなのだと思う。読み応え抜群の長編作品、面白かったです。

2023/03/06

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