教誨
教誨 / 感想・レビュー
青乃108号
予約半年、ようやく読めた。柚月裕子の現時点での最新作。全編に渡り死刑囚の響子が不憫でやるせなく、胸が詰まる作品。死刑執行前の最後の言葉「約束は守ったよ、褒めて」。約束とは何だったのかは終盤明かされるが、そこにはあまりに悲しい事実が。「褒めて」…彼女の人生には成功体験がなく、人から褒めてもらった経験すらないのだ。辛すぎる人生に泣けてくる。さらに追い討ちをかけるように死刑囚を出した家が世間から受ける酷い仕打ちに鬱々としてくるが、遠縁の香純の尽力によりラストにようやく救いが訪れる。柚月裕子らしい秀作である。
2023/09/03
starbro
2023年の第一作は、柚月 裕子の最新作です。柚月 裕子は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、目出度いお正月の雰囲気には相応しくない内容ですが、正に教誨、地方閉鎖社会虐め母娘孫三代負の連鎖悲劇、慟哭のミステリ感動作でした。 昨年読了していたら、2022年BEST20候補でした。今年も上々のスタートです。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002004.000013640.html
2023/01/01
パトラッシュ
古い因習にとらわれて外部の介入を拒絶し、少しでも反した者をいじめ抜くことで団結する歪んだ世界。「約束は守った」と言い残して死刑になった遠縁の女性の過去を探るうちに、そんな故郷で男の身勝手故に苦しみながら冷たい眼差しに耐えて生きねばならなかった、母娘二代にわたる悲劇的な過去が浮かび上がる。舞台となった青森で先日起きた5人が死んだ放火殺人でも数十年にわたる怨念が動機とされるなど、日本の田舎は今日も頑なに変化を拒んで暮らす人を追い詰める地獄と化している。不幸を再生産する風土こそ教誨されるべきと訴えるかのようだ。
2023/05/01
ノンケ女医長
2人の幼い子どもを殺めた女性。10年間を服役し、極刑に処せられた。拘置所で過ごす間、丁寧な字で日記に遺した思い。「約束は守ったよ。褒めて…」(277頁) とつぶやき、執行室の床に沈んだ。38歳で命を閉じた響子の真実を、遠縁の女性が追究する。溢れ出る、彼女の薄幸さに誰もが口を閉ざす。みんなを傷つけて来てしまったと、ひたすら自責していた響子。もし他人の目や援助が入りやすい都会に生まれついていたら、少しでも幸せを実感できていたのだろうか。ひたすら、もの悲しくなる社会小説だ。
2023/01/11
うっちー
重すぎる!!
2023/01/06
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