南風に乗る
南風に乗る / 感想・レビュー
starbro
柳 広司は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 実在の人物たちの視点を通して描いた戦後沖縄の黒歴史、著者が今このタイミングにこのテーマで本書を書いたのかは疑問です。 https://www.shogakukan.co.jp/books/09386674
2023/04/10
trazom
瀬長亀次郎さん、中野好夫さん、山之口貘さんを通して戦後の沖縄の歩みが描かれる。これほどの酷い仕打ちに晒されてきた沖縄の人たちの気持ちを、果して自分はどれだけ理解していたのかという思いに囚われる。沖縄を切り捨てて主権を回復した日本。沖縄を統治した米軍民政府の余りにも非人道的な暴政。見て見ぬふりをする日本政府の冷たさ。沖縄県民の思いを一顧だにせず強行採決された復帰法案。沖縄の人たちを騙し、虐げ続けた歴史を前にして、「これが本土の民主主義なのか!」と叫ぶ県民の声が胸に刺さる。深く重く心に残るいい本だと思う。
2023/05/20
のぶ
本の帯に“実在の人物たちの視点を通し、本土復帰までの「時代」と「闘い」を描く傑作長編“とあり、その通りだと思うがこれは小説でなくノンフィクションですね。全編を通し瀬長亀次郎という政治家を話の軸に据え、戦後から復帰までの事実を綴っていく形態をとっている。真藤順丈さんの「宝島」のような小説を期待した自分には肩透かしを食った気持ちもあるが、内容的にはとても充実したものだった。米軍の支配下におかれた沖縄の人々が、いかに理不尽な仕打ちを受け、苦しんだかが非常に伝わってきた。沖縄を知る上で一読の価値はあると思う。
2023/03/23
雅
沖縄を巡る重たいイメージ作品。今の姿に辿り着くまでの歴史
2023/05/31
ヘラジカ
出版社の紹介では「小説」とされているが、実在の政治家と詩人の生涯を詳細かつ淡々と追っているため、読んでいる限りではどこからどこまでがフィクションなのか分からない。所謂「ノンフィクション小説」というものだろうか。沖縄の知られざる、というよりも本土の人間が積極的に知ろうとしてこなかった戦いの歴史が、整然と簡明に描かれている。意想外にも全く娯楽性はない作品だったのであまり話題にはなりづらいかもしれない。しかし、この本が広く読まれ、今なお続いている基地問題に向けられる眼差しが少しでも変われば良いと思う。
2023/03/07
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