モーツァルトを聴く人: 谷川俊太郎詩集
モーツァルトを聴く人: 谷川俊太郎詩集 / 感想・レビュー
寛生
【図書館】風の音を聞く。音楽を聴き続ける。この二つの行為は谷川にとって同時進行ではないのだろうか。風は谷川の魂にある悲壮の音を未知な世界へと吹く。やはり谷川は「何か」をじっと待っている。寂しさも悲しみも、涙と死さえも、コトバにしてきたからだろうかーそれらに対峙する「何か」ではなく、全てを超えたものーを詩を書くことで必死に探している感じを受ける。それが、この詩人が死よりも生の方に少し傾いているという感覚。アウシュビッツの後、もう詩なんて書けないという哲学者には、この詩人は明確に対峙しているが。
2014/05/29
なおじん
沖仁さんのラジオを聞いていて興味が湧き読みました。なんだろう、寂しさを感じつつも、少し共感できる詩でした。
2021/05/10
きのこ
谷川俊太郎は「朝のリレー」といくつかの合唱曲の詩しか知らないで勝手にイメージを作り上げていた。この詩集を読むと詩人が(当たり前だけど)きれいで清々しいだけでなく、苦しみもがいたり辛い気持ちもクリアな言葉で表しているのがわかる。どうして詩でこんなにも情景や気持ちや人との関係や、その他すべての「生きること」を表現できるんだろう。だからこれほど評価されているのだとは頭では理解しながら、やはりその言葉の魔法のような表現力に驚嘆する。
2022/08/28
happymade
音楽は詩的に語り、詩はことばを奏でる。 やるせなさを表現する時は似ている気がする。 音色は言葉よりも想像的、言葉は想像を裏切る。 詩と音楽の関係性を考えてみました
2022/04/17
Tonex
「今朝ホテルの前の通りで双子とすれちがった/ロボットみたいに同じ顔のじいさんふたりは/からだつきも歩きかたもそっくりで/個性なんていう発明をあざ笑っているかのようだった」
2013/07/31
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