兵士に告ぐ
兵士に告ぐ / 感想・レビュー
さすらいの雑魚
杉山隆男の兵士シリーズは軍ヲタ必読の名著揃で、当然全巻読破済みだが、1冊選ぶなら 兵士に告ぐ かと。想定される対中国戦争の先鋒を担うべく編成された精鋭 西部方面普通科連隊(現 第1水陸機動連隊)の隊員にフォーカスし、中野の系譜を継ぐ特殊作戦群の影に、米軍との微妙で深い関係や、不戦の軍隊での攻性兵団の複雑な立場など、なんとも滋味溢れる内容満載。平和維持活動や遭遇戦でなく国権の発動たる戦争となれば最初に征く日本版海兵隊には日本と自衛隊の矛盾と問題が濃縮されてて悩みも多いけど、それでも兵士は元気溌剌で救われる♪
スカイバニラ
著者の兵士シリーズの第4弾、07年発行。九州相浦に駐屯する西部方面普通科連隊、そして北海道倶知安に駐屯する第29普通科連隊の取材を通して自衛隊の組織改編が西方重視にシフトしている様子と部隊内の隊員達の姿を書き出してます。本書にある隊員のエピソードの中には著者の新書「自衛隊が危ない」に収録されてる話と重複してるものが何点かあります。著者は米軍との指揮機能一体化が進む事によって、自衛隊が今まで築き作り上げてきた特色が変質してしまうのではないかと懸念していますが、この点に関して自分は正直なんとも言えません。
2011/10/23
Ted
'07年7月刊△「東シナ海、浪高し」-増長著しい中国の怪しい動きに対抗するため、離島防衛を目的に新設された西部方面普通科連隊を取材した「兵士」シリーズの完結編。表現が大仰、文章が冗長で無駄が多い点は相変わらずだが、自衛隊の今(といっても10年前の本だが…)を活写している点では面白く読ませてもらった。様々な隊員のエピソードの中でもS士長の話が一番印象に残った。見返りが乏しいのに敢えてレンジャーを目指す隊員がいみじくも「無意味の中に意味を見出す」と言った伝でいけば、S士長はさしずめ「無用の用」といえるだろう。
2016/06/25
風見草
レンジャー部隊でないのにそれ並みの訓練を日常的に行う西普連について取材。訓練地確保の為の漁協への顔見せ、レンジャー試験落ちなのに西普連に配属された者の微妙な心理、幹部の見た自衛隊と海兵隊の気風の違い、レンジャー並み訓練者ならではの気風、個人装備に凝る隊員とそれを部隊装備にする遅れた実態、イラク派遣の志願に揺れる隊員など、佐官や下士官を中心に等身大の自衛隊が伺えます。
2011/02/12
そうや
初めて著者を知ったのはシリーズ一弾「兵士に聞け」シリーズどれを読んでも、自衛隊のジレンマや変わりゆく様を余さず描いている。残念に思うのは著者の視線が門外漢から自衛隊を温かく見守る方向に変わって来ていること。個人的には共感するが“門外漢”の立ち位置で読者を引き込んで欲しいところです。
2013/07/15
感想・レビューをもっと見る