鳳仙花 (小学館文庫 R な- 2-4 中上健次選集 4)
鳳仙花 (小学館文庫 R な- 2-4 中上健次選集 4) / 感想・レビュー
nina
自伝的連作『岬』『枯木灘』『地の果て至上の時』のプロローグとも言える著者の母をモデルとした物語。不義の子として生をうけ、3人の男と暮らし、6人の子を産み育て、2人の子を堕胎したフサという女性の半生は中上の手によって女の悦びも苦しみもつぶさに、そして鮮烈に唱いあげられ、その猛り狂う感情の生々しさに何度も呑み込まれる心地を味わった。当初新聞の連載作だったらしく、文体が中上作品にしては比較的柔らかいが、自身の母をモデルにしてここまで女の内側を描ける中上健次という作家の才能に改めて平伏したくなる。
2014/05/12
fseigojp
岬・枯れ木灘・至上のときを三部作と呼ぶが、私的には至上を外して、これを推す 作者の母へのオマージュにて
2015/08/27
R
相変わらず濃密な物語だ
2010/03/21
びじにゃん
女の人生はその伴侶によって、幸福にも不幸にもなり、自らではなく、流されるままに生きてゆく。その先には子供達の人生をも左右し、それが代々続いてゆく。なんとも重い物語だが、主人公の短い青春は、甘く輝いていたことが、慰めになった。
2018/04/01
感想・レビューをもっと見る