天頂より少し下って (小学館文庫 か 11-1)
天頂より少し下って (小学館文庫 か 11-1) / 感想・レビュー
ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中
自分のことをかわいそうと思ったことはないし思いたくもないけれど、道端でひっくり返って大声あげて泣きたいときだってある。だれでもいいからやさしいことばに縋りついて泣きたい。でも何も言わずに凛としたかなしみを抱きしめる人の方が好きなんだから悔しいなぁ。 ゆるゆるとさびしくてふあふあと微睡む。となりのあたたかさがしあわせで、なのにほんの少しかなしみが混じるのは秋の空があまりに高くてきれいだからなのかしら。他人の人生をあれこれ言うよりも、自分とはちがう存在、だけど許容できる人でいたいのです。
2020/09/16
ゴンゾウ@新潮部
川上さんの作り出す空気感がとて好きです。手が届きそうで届かない、見たいのだけどあえて見ない 少し儚くて危ういそんな感覚。
2018/04/09
Shinji
「センセイの鞄」以来、2冊目の川上さんです。不思議ちゃん、友情、母娘、妄想… 極上のラブストーリー、とバラエティーに富んだ7篇の短篇集。いや〜、楽しめました。満足度高いです!一実ちゃん、ハナ、と ぶっ飛んだ娘が立て続けに出てきたけど、一実ちゃんの大雑把感が気に入りました。暎子が治樹に対しての気持ちを、足元に見つけて掬い上げる感覚、表題作での 真琴の、女として、母として、一人の人間としての感情の揺れと「間」に川上弘美さんの恋愛への思いが溢れていましたね。「天頂より少し下って」タイトルの付け方が秀逸でした。
2015/08/05
めしいらず
再読。ふわふわした川上節は健在だけれど、地に足着いた「夜のドライブ」が白眉だった。久しぶりに親に会うと何だか小さくなったように見える。声が年寄りじみて感じられる。それはおそらく人生の地歩を固めた自信がそう思わせるのだろう。生まれた時には自分の世界の全てだった親の占める割合が、10代、20代、30代と齢を重ねる毎にどんどん小さくなり、40代にはいよいよその先を意識させられる。主人公は「お母さん」と心の中で何度も呼びかける。また「ユモレスク」もいい。この軽妙な味わいはまさに題名通りで、あの中野商店系である。
2017/12/18
優希
奇妙な味わいとユーモア、やわらかい幸福が感じられました。少女から大人までの様々な恋愛がみずみずしく心を打ちます。
2021/05/16
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