グリムの森へ (小学館文庫 た 29-1)
グリムの森へ (小学館文庫 た 29-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
第一線で活躍する8人の女性作家たちによるグリム童話の競演。当然、それぞれの作家がグリム童話のいずれかを原典として翻案を展開するものだとばかり思っていた。ところが、残念ながら、いずれもが翻訳(中には日本語からの重訳もありそうだ)なので、グリム童話そのものを読む楽しみはあっても、せっかくの作家たちの個性や文体の妙はわずかしか味わえない。その点では阿川佐和子氏の努力と工夫はわからないではないが、残念ながら成功しているとは言い難く、むしろ民話を通俗化してしまうという結果に終わっている。なお、巻末のエッセイは充実。
2017/05/30
KAZOO
グリムの童話の中からいくつか選んで女流作家に書いてもらった作品集です。わたしは皆川さんと高村さんのファンなので読んでみましたが、彼女たちの独特の文章にはあまり触れられませんでした(少しがっかり)。ただ絵などが豊富でエッセイなどにも参考になるものがあってまあ楽しめました。どちらかというと彼女たちに自由な発想で書き直してもらいたい気がしました。
2015/10/17
nyanco
8名の女性作家によるグリム童話集、各作家らしい作品達を楽しみにしていたのですが、本書はオリジナルに忠実であることが目的だったようで私のイメージとは違う作品でした。「一枚絵」は美しく、今再び、きちんとグリム童話を伝えようという意図はわかりましたが、もう少し、その作家さんらしさがあると良かったかなぁ、と思います。かなり砕いてご自身の世界観を出していたのは中沢さんくらいじゃなかったかな。続→
2015/05/21
すこにゃん
グリムと日本昔話を大雑把に東西比較してみました。1:老女はグリムでは魔女で悪役だが日本昔話では山姥を除き善良な人である。2:グリムでは魔女が人間を動物に変えるが日本昔話では動物が己の意志で人間に化ける。3:グリムでは王子様が美しい田舎娘に求婚するが日本昔話では大名からの縁談は希である。4:総じてグリムでは権力者や魔女に対する畏れが表現され、日本昔話では自然や動物に対する畏れが表現される。童話の楽しみ方は人それぞれですね。
2015/04/15
積読亭くま吉(●´(エ)`●)
高村女史が読みたくて手にしたのですが…。思ってたのと違いました。グリムベースに各々の作家がそれぞれに色付けして作話←ではありませんでした。いたってグリムに忠実に再話されています。ただし、明治時代に日本語訳された『おほかみ(七匹の子山羊)』も収録されているのですが、これは面白いです。図書館で見つけたら、ここだけでも(笑)※後半のエッセイもグリム童話もちゃんと面白いですが、残念ながらこれなら40年以上前に読みました、感が半端ないのです。
2015/04/08
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