遺産 THE LEGACY (下) (小学館文庫 さ 17-5)
遺産 THE LEGACY (下) (小学館文庫 さ 17-5) / 感想・レビュー
absinthe
面白かった。冒険といっても、シグザウエルやグロックは出てこない。正面から海と戦う小説だ。海にかける男たちの息吹が感じられる。磯の香りが漂ってきそうな小説。ただ本書、政治的駆け引きに比重を置きすぎている嫌いはある。海中での作業をもっと掘り下げて、膨らませて欲しかった。金のかかる海洋考古学では、お金の出所の話題は仕方の無いことかもしれないのだが。歴史、海洋科学、技術、政治、ダイビング。あらゆる視点を精密にしようと心がけた作者に感服。
2017/01/09
ナルピーチ
下巻に入ってからは予想外の連続。思い描いていた物語とはだいぶ違ったけども、圧倒されるスケールの大きさと敵対する相手との“海底遺産”を巡った壮大な争奪戦、利権を絡めた心理戦が読み応え満載!そして本書のもう一つのテーマでもある“血脈”。途絶える事のない血の奔流はどんな荒波にも負ける事なく時代を超えて受け継がれていく。これもまさしく“魂の遺産”に違いない。そしてなんといっても紆余曲折を受けてのクライマックスに思わず感涙!海底に沈む多くの沈船。数百年たった今も、その多くは誰の手にも届くことのない深海に佇んでいる。
2023/07/24
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
海底に沈んだ古代の秘宝を引き上げる。まさに夢とロマンの世界だ。ただ現実には名誉と金と欲が絡むし、法と政治も邪魔をする。考古学者VSトレジャーハンターに国家と政治にビジネスの思惑も重ねた点はリアリティを増したとも言えるし、純粋な海洋冒険物の面白みを薄めたとも言える。この辺は好みが分かれるところかもしれない。★★★+
2017/07/08
うめ
仕事や人生に向き合う作中人物たちの言葉が良かった。ある種の成長物語でもある。だけども、やっぱり過去パートが一番吸引力があったかも。
2017/01/30
Norykid
海洋ロマン巨編、その後編。400年前に太平洋の真ん中に沈没したスペイン船、アンヘルデアレグリア。異国の船の日本人船長は、今でも舵輪に自らを縛りつけた形で船内に眠っている。そしてその引き揚げプロジェクトに参加する主人公は、彼の子孫に当たる。財宝目当ての巨大資本企業との闘い、三国が絡む所有権騒動、そして不吉な海底火山の噴火の予兆。テクノロジーと資本力を駆使して引き揚げ作業に取り掛かるクルーらに、海底火山の猛威が迫る。本書で急展開を見せるストーリー。最後のオチは出来過ぎだが、ご先祖様の奇跡と考えたい。
2016/07/24
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