山中鹿之助 (小学館文庫 ま 22-1)
山中鹿之助 (小学館文庫 ま 22-1) / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
松本清張が1950年代半ばに中高生向けに連載していたジュヴナイル歴史小説の1つ。我が広島県の英雄・毛利一族を悩ました若き豪傑の生涯である。少年向けという事もあり、傷もある作品である。1章の『毛利元就の巻』は元就を扱った短編『戦国謀略』(新潮文庫『佐渡流人行』所収、原題『調略』の名で双葉文庫『武将列伝』にも所収)をいじっただけの章である。鹿之助や同輩がやたらクマと相撲を取ったりと、講談的でもある(こういうのは好きだが)。しかしそんな傷があっても、鹿之助の生涯は素晴らしい。ネバーギブアップとは彼の事である。
2016/09/18
如水
松本清張が歴史小説でかつ短編じゃないのを書いてるだとぉ〜?と思い、読んでみた。感想はサクッと読める?何故なら小中高向けだから(笑)だから客観的にかつ内容は簡単に。そして時代背景を知って貰う為に毛利元就の事を一章かけて説明。そして…薄い?ただ尼子十勇士が出て来ますし読み応えは…う〜ん…がっつり山中鹿之助の事知りたいって人にはちょっと物足りないかも。歴史小説入門編見たいな感じです。
2018/12/19
金吾
すごく読みやすくて、あっさりと話は進みます。しかしながら鹿之助の不屈の精神と一直線な武力はよく伝わりました。尼子や鹿之助について始めて読む本として良いと感じました。
2023/05/17
黒猫
「願わくは、我に七難八苦を与えたまえ」と三日月に願ったと有名な山中鹿之助の生涯を松本清張が書いている。とても読みやすく、山中鹿之助の尼子家再興の宿願が、描かれている。最初の母との別れのシーンからして、この本絶対に面白いな!と思わせてくれる。客観的にみたら、毛利元就の智謀と軍事経済力に手も足も出なかったけど、尼子勝久に尼子家再興の夢を見させてあげて、人のために自分を犠牲にする姿を清々しく書いているためか、読後感も良かったです。尼子贔屓にはオススメですよ!
2016/09/10
Galilei
清張初期の作品、尼子氏再興に生命をかける一途な山中鹿之助を、豪傑と猛将という戦国武士の手本として描き、一方で母や縁者に心配りを怠らない律儀者という人間性に着眼している。「神よ我に七難八苦を与え給え」という、先人の言い伝えよりも、苦戦して親友と眺める月の方が、よほどリアリティに富む。戦国覇者を讃える歴史小説より、世の流れに巻き込まれず、地道だが自身を貫く武士の本懐が此処にある。
2020/03/14
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