夏の情婦 (小学館文庫 さ 4-10)
夏の情婦 (小学館文庫 さ 4-10) / 感想・レビュー
相田うえお
★☆☆☆☆20043【夏の情婦 (佐藤 正午さん)】脱線話を。●ネクタイ。発案者は何を思ったのか?冬の防寒じゃエリマキ・マフラー に負けるし、夏のクールビズでもアロハシャツに負ける(ちなみにエリマキとマフラーを書き並べると、ぱっと見フマキラーに見える。見えないって?)●下を向いて歩く。マンホールに落ちる事は少なくなるが、(初めから確率は低い)坂本九さんに叱られる。ボーッと生きてんじゃねーよ!上を向いて歩け!●水飲み場。小さい頃、夏の公園で遊んだ後、上向き蛇口から水出して ゴクゴク飲んだの美味しかった〜。
2020/04/16
えりか
ネクタイを結べない男、たった一夏だけ女と関係を持つ男、高校の時の淡い片恋を思い出す男、傘を探し回る男、ベッドのテクニックだけは自信がある男。女にだらしのない男にも、心の中に一人は忘れられない大切な女がいる。それを思い出す時の静かな切なさが良かった。「恋人」の慎之介は今後女に振り回されそう。案外嫌だ嫌だと思いながら幸せかもしれない。断トツで「傘を探す」が好き。姉の夫の大切な傘を探して歩き回る男、男は傘を探しているのか、妊娠し傷つけた女を探しているのか…。情熱と焦燥とに絡めとられる男の姿に、なんとも惹かれた。
2017/08/12
じょんじょん
佐藤正午さんはかなり以前に『ジャンプ』を読み、(あらすじも忘れたけど)ストーリーや構成力のすごい作家さんだなという印象をもっていました。この作品では、その時とはずいぶんと違う印象を持ちました。いずれもすっきりしない『男』が描かれていますが、妙に唾棄できないものを感じます。作者のあとがきで30年前の作品と書いているが古さはまったく感じない。むしろ、描かれる内容はずるずるとしているのに、みずみずしさすら感じてしまいます。作者のいうとおり書くべきときに書かれた作品なのでしょう。電話が固定電話の時代だったのですね
2017/11/24
akio
ドキリとするタイトルの表題作を含めた短編集。佐藤正午はダメ男を書くのが上手なのに時々驚くほど瑞々しく繊細な恋情を描くからはっとしてしまいます。「片恋」「傘を探す」が好きでした。特に「傘を…」は構成が面白く、後書きにも納得です。
2018/10/24
貴
何もしないで失敗するほうが、何かをして失敗するよりもいいではないか、そんな考えが正当化できる時間は少ないと思う。勇気を出さず、第一歩をふみださず、ただ時間に流される不真面目な人生は貴重かもしれない。
2024/09/17
感想・レビューをもっと見る