サラバ! (下) (小学館文庫 に 17-8)
サラバ! (下) (小学館文庫 に 17-8) / 感想・レビュー
さてさて
『あなたは、あなたの信じるものを見つけてほしい』と思いを語る西加奈子さん。テヘランで生まれ、大阪、そしてカイロで暮らした主人公と同じ人生を歩んできた西さんが描くこの長編には、西さんだからこその説得力の上に、その土地ならではのリアリティ溢れる人々の暮らしが描かれていました。上・中・下巻950ページという圧倒的な物量の物語の中にどっぷりと浸れるこの作品。絶妙な伏線とその回収の絶妙さに最後まで飽きることなく読み通せるこの作品。直木賞受賞作にして本屋大賞第2位という結果論が伊達ではない、これぞ傑作だと思いました。
2023/02/09
ゴンゾウ@新潮部
常に周りとぶつかりもがいて来た貴子。軋轢を避け受け身な生活を続けてきた歩。対象的なふたりの環境が逆転。「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ」 貴子のコトバが切実に響いた。
2018/10/15
TAKA
歩の社会人生活は順風満帆だと思ったのにまさかの転落。薄毛に悩みなにもかも自暴自棄になってしまった。この兄弟は結局人によく見られたいとか引いてるようで押し出してるような生き方だったと思う。「あなたは誰かと自分を比べて、ずっと揺れていたのよ」姉はそこから抜け出したのだ。信じるものを、誰かに決めさせてはいけない。己れで見つけないと。サラバ!から進化していく歩を応援したい。変わった家族のようだけど家族なんて皆何もかも違う訳だからこんなもんだよ。良い家族だと思うよ。周りの人たちも。これからの糧になりそうな本でした。
2021/06/05
katsubek
さて、今度は正真正銘、下巻を読み終えた。自分の信じるものは自分自身で見つけねばならない。思えば主人公はずっと早くに見つけていたのだとも言える。ただ気づかなかっただけなのだと。中巻の1995年に続いて、下巻では2011年が語られる。紛うかたなく、そこには西加奈子の祈りがあるのだろう。だからこそ、再生の物語でなくてはならなかったのだろう。ふり返るに、我自身の信じるものは何であるか。まだまだ、発見に至っていないなあ。まだまだ未熟者である。
2018/07/29
まっさ
信じることはこれからも生きていくという人の意思そのもの。そしてこれは間違いなく人の信じていく行為を称賛し、信じる力を与えてくれる物語。西さんの揺るぎない信念を感じる一冊。
2017/10/24
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