ヒトリコ (小学館文庫 ぬ 1-1)
ヒトリコ (小学館文庫 ぬ 1-1) / 感想・レビュー
さてさて
『いつも一人でいるから、ヒトリコ』。『いつも一人で誰とも関わろうとしない』という主人公の日都子が「ヒトリコ」になった先を描くこの作品。そこには、小学校、中学校、そして高校と大人への階段を上がっていく中にかけがえのない”青春”を生きていく登場人物たちの姿が描かれていました。「ヒトリコ」が見せる強さと弱さを垣間見るこの作品。学校生活のあんな場面こんな場面を鮮やかに描いていくこの作品。とても丁寧に、繊細な筆致で描かれていく物語の中に、デビュー作に込められた額賀さんの強い思いを感じた素晴らしい作品だと思いました。
2023/12/26
おしゃべりメガネ
ほぼ9年ぶりの再読。イジメ問題が日に日に世間を騒がせてる昨今において、改めて何かと考えさせられる作品でした。小学5年のトキにクラスの生き物係をやっていて、飼っていた金魚を死なせてしまった「日都子」。原因不明でありながら、死なせた犯人にさせられ、その日からクラスみんなから無視され『ヒトリコ』に。唯一関わりを持つピアノ講師で謎めいた老女「キュー婆ちゃん」との繋がりだけが彼女を救います。時を経て、高校生になった彼女にちょっとずつ取り巻く環境の変化が訪れます。彼女のたくましい生きざまに清々しいキモチになれます。
2024/03/23
dr2006
東京へ転校していった海老沢冬季と一緒に飼育していた金魚が死んだ。深作日都子はその濡れ衣で虐めの対象となってしまう。だが日都子はその虐めに抗わず、周囲との関わりを避け心を閉ざし一人で居ることにした。やがて皆から「ヒトリコ」と呼ばれ避けられる存在に…。人口が少ない町では中学も高校も顔見知りと一緒で過去をリセットできない。それでも背筋を伸ばし自分の生き方を貫く日都子だったが…。4年ぶりに地元へ戻り日都子と同じ高校に通うことになった冬季は、彼女の姿と態度の変化に驚く。初読み額賀澪のデビュー作、心理描写が好きだ。
2022/05/08
ピロ麻呂
金魚殺しの犯人として濡れ衣を着せられた日都子。その事件をきっかけに「ヒトリコ」、一匹狼として学生生活を過ごしていく。彼女もそうだけど周りの生徒も結構冷めてて、さみしい人間関係…陰湿なイジメと言うわけではないけど読むのがつらくなる。でも、冬希君が転入してきて日都子が心を開きはじめると、二人の仲を応援したくなる。文庫特別版では微笑ましい関係となりホッコリしました(^^)
2017/12/12
はるき
待ちに待った文庫化! 単行本で読んだ時は、大人たちの不甲斐なさに歯噛みしました。しかし今回は、子供たちの前を向く輝きに心うたれました。理不尽に負けまいと拳を握る彼女に心からエールを贈りたいと思います。名作だと思います。
2017/12/12
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