小説王 (小学館文庫 は 18-1)
小説王 (小学館文庫 は 18-1) / 感想・レビュー
W-G
何らかの理由で不遇を囲っている天才と、その実力を信じて寄り添う熱血パートナーの成功までの軌跡という、名作鉄板テンプレートの小説家&編集者バージョン。女性にももてて、いまいち逼迫感のない前半の豊隆と、スイッチが入り、何かに憑依されたように書き続ける後半の彼の姿の対比が上手くきいており、ラストを心地よいものにする。一方、俊太郎サイドのストーリーも起伏がちゃんと用意されており、家庭に会社に見所満載となっている。豊隆の過去の女である綾乃をそこに絡めてくる流れも纏まりが良く、盛り上げに一役買った。
2020/04/16
しんごろ
新人賞を受賞したあと一発屋状態の小説家と、その作家の幼なじみの編集者の物語。こんな大御所作家、若手人気作家や女流作家がリアルにいそう。そして、一冊の本ができるまでの過程が臨場感があり、しかも熱くて熱量がすごかった。小説に限らず何かを作るということは、膨大なエネルギーと諦めず続けること。何かのせいにしないこと。そうすれば、人にも恵まれ、人との出会いがきっかけに素晴らしいものを作り上げれるのかもしれない。豊隆も俊太郎も、いい人達に出会い人に恵まれ、いい小説を作り上げたね。厳しい出版の世界、頑張ってほしい。
2023/08/31
5 よういち
新人賞を受賞したもののその後は鳴かず飛ばずの小説家と幼なじみの編集者が、不況下の出版業界で幾多の困難にも立ち向かいながら魂を込めて書きあげた本を世に出そうとするお仕事エンタメ小説。◆熱いものを感じざるを得ない物語だった。冒頭では気怠さも感じたが、中盤以降は二人の小説に対する熱い思いに、そのままま作中へと引きずり込まれたような感覚だ。小説が世に出て人々に認められるにはこれほどの熱量が必要なのか。◆本当に書きたいものはなんだ? 小説は誰のために書くのか? そもそも物語とは? ◆小説好きな方に読んでもらたい
2020/10/06
TAKA
出版業界の不況はリアルに描いてましたね。小説を読まなくなった人、まったく読まない人。そんな人たちに手にとって貰うには相当の努力がいるし、作家も、編集者も、出版社も試行錯誤を通り越して何とかこれ以上底に落ちないよう頑張っている。IT業界に媒体したあたりはリアリティを感じました。小説の役割はまだ終わってはいない。書き手が読ませたい、読み手が読みたいが一致すれば自然と手に取ると思うんだけど。本が好きな人には面白い作品です。連載のほうが作家さんにとっちゃ実入りがいいんですね。
2020/09/07
アッシュ姉
華々しいデビューのあと鳴かず飛ばずの若手作家と、彼の才能に惚れ込み編集者となった幼馴染の二人が、再起を図る渾身作を世に出すまでの奮闘記。なんとも熱い物語。照れくさいほどの青臭さとのぼせそうな熱気にあてられクールダウンしてしまい、のめり込むまではいかなかったが、本好きなら手に取って損はない一冊かと。ドラマ放映前に読めてよかった。
2019/04/08
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