上流階級 富久丸百貨店外商部 (小学館文庫) (小学館文庫 た 35-1)
上流階級 富久丸百貨店外商部 (小学館文庫) (小学館文庫 た 35-1) / 感想・レビュー
佐々陽太朗(K.Tsubota)
上流階級、誰もがなりたいと憧れる階級である。一部のひねくれ者を除いて。今や死語だろうが、プチブルなどといった中途半端なブルジョアではなく、正真正銘のハイソサイエティに属する人々。日本は外国ほど格差が激しくないし、敗戦によってリセットされたこともあってさほど目立たないが、そのような上流階級が確かにいる。むしろあからさまに上流階級であることをひけらかさないところが上流階級たる所以かもしれない。上流階級と話すときに褒められたことを真に受けてはならない。もしや当てこすりではないかと疑わねばならないとは怖いことだ。
2019/09/10
takaichiro
関西最高級住宅地六麓荘あたりの富裕層を相手する百貨店外商の物語。前半は上流階級の豪勢な買物シーンが続くが、後半は金の有無し関係なく誰もが人の優しさ・温かさに飢えていることに気づく。主人公は173cmモデル級の高身長で富裕層を相手にするため語学や色相学を熱心に学ぶ女性。アラフォーだが菜々緒さんを主役に、相棒のゲイ桝家にジャニーズの若手をキャストしたTVドラマが見たい。本書の金言をひとつ「教養とは、振る舞いです。手間暇をかけた身なりと、正しい日本語と、落ち着き」そうです。教養とは人となりそのものです。
2019/06/22
坂城 弥生
外商さんは深く関わっている人にとっては文字通りゆりかごから墓場までお世話になるんだなぁ。と思った。 「恋愛に向いてない」に関して桝家がごちゃごちゃ言ってたけど、何かに真剣に向き合って夢中になれる人のが私は魅力的だと思う。「仕事もプライベートも充実してるの」は確かに理想だけど、あっちもこっちもと目移りしないで、『これ』と決めたものに夢中になれる人のほうが私は魅力的で幸せだと思う。
2021/02/12
papako
関西の百貨店外商部のお話。そっか、外商って男性だけなのか。そこに配属された女性鮫島。洋菓子屋からバイヤーになり、外商へ。外商で高価な物を売ることに背徳感を持っていたが、お客様に誠意をもって商品を勧め、やり取りをする中で外商という仕事の意味ややりがいを見つけていく。恋も仕事もライバルの枡家もいい味だしてます。とにかく鮫島さんの仕事に対する考え方や対応が素敵でした。発想も豊かだし、とにかくお客様に満足してもらいたい!という気持ちが良かった。シュークリームもダイヤも同じかぁ。楽しかった!ほろっとした!
2019/11/18
佐島楓
百貨店の外商に勤める女性を描く物語。お仕事小説でもあるが、そこで女性がいかに働くかという点にスポットが当たっているように思えた。自分の生活とは乖離した人々と交渉しつつ、自分なりの幸せをつかむため努力する。それが必ずしも結婚のようなものでなくても良い、精神的な充足を求める様に現代の女性像を見た。私も葉鳥さんは素敵だと思うな。
2019/07/09
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