本を守ろうとする猫の話 (小学館文庫 な 13-5)
本を守ろうとする猫の話 (小学館文庫 な 13-5) / 感想・レビュー
やすらぎ
本には力がある。読むだけではなく自らの足で考え歩くことで、心強い友人を得る。人には誰しも心があるように、本にも心がある。著者の気持ち、読了者の感動が合わさり、手元に今届いている。そして私を支え続けている。どんなに深い森の奥で小さな心が佇んでいたとしても、決して時は止まることなく傍らには本があった。本の話になると草木が微かにざわめき木漏れ日から微笑み。人と人が深く通じ合えなくても保てる関係。私は本も人も愛している。一つひとつの出逢いに感謝して、大切なことが積み重なる自身を見つめ直して、今日も一冊の本を開く。
2023/03/24
しんごろ
奥が深い話でした。それこそ迷宮に入るような…。自分にとって本とは何だろうか。この物語を読んで、考えてみたいと思うけど、考えれば考えるほど、深みにはまって、自分が迷宮に入るかも…。答えが見つからなくても、本が好きなのは変わらない。人それぞれの読み方、楽しみ方がある。本が好きという想いを大切にして、これからも読み続けたい。うん、「俺は本が好き」。このシンプルな気持ちだけがあればOKだよね。本について考えるいいきっかけになる物語。トラよ、いつまでも本を守っておくれ。
2022/10/18
へくとぱすかる
本、そして読書について、長い間モヤモヤと思っていたことが見事にテーマに取り上げられ、しかもそれを物語の形で見せて(読ませて)くれた! 目標を決めて読書をがんばるのが悪いとは思わないが、数字にこだわり過ぎるのは、確かに何か不自然だとは思っていた。そして鏡を覗くような気分で、最後まで「なるほど」の連続だった。何のために本があり、人は本を読むのか。殺伐とした時代こそ、せめて優しさを読書から知ってほしいものだと、繰り返し思う。新春から爽やかな物語をもたらしてくれた林太郎くん、沙夜さん、そしてネコのトラに大感謝!
2023/01/02
やっちゃん
本を取り巻く現状を嘆く著者。自分にも耳が痛い部分も多く忸怩たる思い。短い時間で楽しめる娯楽ばかりの今、難しい本にどっぷり浸かるのはコスパタイパが悪いのはわかる。しかし難しい本を難関な山に喩えられたら登らずにはいられない。ネコ小説でありながらかわいい描写が皆無なのは残念。
2024/10/29
hiace9000
最近の本の世界の冒険譚といえば、深緑野分さん『この本を盗む者は』を既読で思い出す。未通読ながら有名な有川さん『図書館戦争』シリーズもその界隈のジャンルとして括ってしまうのはやや無茶か? 今作は、古書店を営む同居の祖父が亡くなり、親戚に引き取られることになった高校生・林太郎が主人公。彼の元に人の言葉を話す猫が現れ、「『本』の危機を救う」冒険に出るというお話。帯でも喩えらるように、宮沢賢治的一切説明抜きの"これが既定路線だよ"ファンタジー。故に細かな詮索など無粋。とにかく作品世界に飛び込み、読み、楽しめば✅!
2024/09/15
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