ボローニャの吐息 (小学館文庫 う 13-2)
ボローニャの吐息 (小学館文庫 う 13-2) / 感想・レビュー
のぶ
約380ページとエッセイ集にしては長めである。それに文章がやや硬く、普段読んでいる軽めのものと比べると、読み進むのに時間がかかった。しかし噛みしめるように読んで行くと段々味わいが出てきた。内容は全編イタリアに関する事で占められているが、ジャンルは多岐に及んでいて、中心はイタリアの人たちとの営み。他に料理、美術、演劇等様々な要素が込められていて、イタリアの奥深さを感じさせてくれるものだった。ミラノでのネタが多かったが、他の地方との比較にも及んでいて、昔はそれぞれ別の国だった文化の違いが感じられた。
2020/07/15
きょん
曇天のミラノ、街中を走る路面電車、ヴェネツィアの冠水や仮面の歴史、ボローニャ駅の爆弾テロと旅客機墜落事故。その土地ならではの名物があり歴史や文化を持つイタリアは奥が深い。各都市の風景が目に浮かび懐かしさで胸がいっぱいになる。あーイタリアに行きたい。
2020/06/26
マリリン
印象に残ったのは歌姫アフロディーティが登場する「見ている」。ギリシャのギターズズーキとアコーディオンの音色と共に従業員の手拍子の中で歌いながら輪になって踊るアフロディーティ。読みながら惹き込まれ酩酊しそう。ロドス島での悲しい記憶。何年かに一度だけ蒼い満月が昇ることがあるという。大切な人が天から降りて会いにくるという言い伝え。仮面に纏わる話が奥深い「ゆらり、ゆらり」は、ベネツィアの歴史的背景等も絡み惹かれる。15のエッセイは、土地に根付く芸術や文化習慣等様々な事が著者の視点で書かれている。眼差しは暖かい。
2023/01/06
シキモリ
仕事柄、折に触れてイタリア人とやり取りをするが、さっぱりとした気質の人間が多いイメージを私は持っている。今作はイタリアの【美】にまつわる全十五章の随筆集。日常の新たな出会いに古代及び現代イタリア史を織り交ぜ、地続きの今を生きる人々の暮らしに根付いた美意識を情感たっぷりに解き明かしていく。今作も内田さんの観察眼は冴え渡るが、それ故に時折冷徹な視点も顔を覗かせる。情景が頻繁に切り替わる小旅行記が続くのは少々退屈だったが、後半四章の仕上がりが正に絶品。今作を総括する様な作品が成るべくして表題作になったのですね。
2021/01/11
Cちゃん
かつて文化や芸術の中心であったイタリア、今も絵画や彫刻、建物、そして音楽、また工芸品やハイブランドなどなど誰もが憧れる旅行地。その華やかな面の顔でなく、就職率が低かったり、貧困であったりという裏の顔を、でも、そこで暮らす人たちを通して人情味たっぷりに伝えてくれる内田さんのエッセイは大好き。いつもながらの行動力、そして誰ともすぐ仲良くなれる人柄、ステキでしかない。
2023/05/07
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