希望病棟 (小学館文庫 か 46-2)
希望病棟 (小学館文庫 か 46-2) / 感想・レビュー
さてさて
『もう一度人生をやり直せたらいいのになあ』。心の中の声を聞くことのできる『不思議な聴診器』が二人の末期癌患者の『やり直し』の人生の中で主人公・摩周湖に様々な声を届ける役割を果たしていく様を見るこの作品。そこには、一歩を踏み出せなかった貴子が力強く前に進んでいく姿が描かれていました。『不思議な聴診器』によって自身の中に医師としての確かな自信を得て力強く歩み出す摩周湖の姿が強く印象に残るこの作品。前作『後悔病棟』とは全く異なる読み味の中に、『貧困問題』に真正面から向き合う垣谷さんの強い思いを感じた作品でした。
2022/07/04
のっち♬
聴診器がルミ子の後輩摩周湖の手に渡った『後悔病棟』の続編。今回は癌の寛解をきっかけとする実際の生き直し。ファンタジー要素は大幅に減退し、続編にする必然性はあまりない。密度もやや不足気味。性風俗で働かざるを得ない女性の無戸籍者や孤児が陥る貧困をテーマに扱い、背景に議員や役所職員や教師らに代表される社会の問題意識の欠如を浮かび上がらせる。風俗業に比べて就学支援が綿密に掘り下げている点を見るに、社会の「闇」は「片隅」に比べて著者の手に余るようだ。早急に大人にならざるを得ない子供たちの自立は周囲のサポートが必要。
2022/04/17
zero1
ご都合主義で非現実的。しかし児童養護施設で育った生徒の進学と学費は切実な問題。無戸籍も日本に1万人いると言われている(後述)。奨学金という泥沼の借金。バカな国会議員。📚️「後悔病棟」の続き。秘密兵器を継承した医師の摩周湖。担当の末期癌患者二人に遺伝子治療の治験を行う(後述)。施設にいる高校生の桜子と衆院議員の妻、貴子。風俗で働くなど粗い設定と構成は減点。その反面、値上げと増税が続きながら賃金は上がらない今だからこそ切実なテーマでもある。描きたい主張は理解できるだけに、もったいない作品。
2023/08/05
machi☺︎︎゛
「後悔病棟」でルミ子先生が使った患者の心の声が聞こえる聴診器は摩周湖先生の元へ。今回の患者は児童養護施設で育った桜子と代議士の妻の貴子の二人。二人が色々な事から解放されて自分の道を歩んでいく姿は同じ女性として心強かったけど、あまりにも話が上手くいきすぎてそんなバカな。と何回もツッこんだ。こんな聴診器があると便利だけど実際に使われるのは勘弁してほしい。
2021/05/31
とろとろ
この話は前作「後悔病棟」があり、その中でも「しゃべる聴診器」が出てくるようだ。これはその続きで、この聴診器がやはり話の鍵を握る。しかし、病の末期癌患者があっという間に治ってしまうのが不思議というかとても大きな違和感があり、また、この題材のメインは病気よりも、若年者の貧困の解決策を探っていく内容で、しかも、その解決策が女子高生を性風俗で働かせるという選択。お店は明朗会計で派出所も近くにあって全く問題が無い、みたいな書き方だが、いくら上手くいったと結論づけても、そりゃいかんだろうと…。どうにも嫌な結末だった。
2021/01/04
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