湖上の空 (小学館文庫 い 52-1)
湖上の空 (小学館文庫 い 52-1) / 感想・レビュー
旅するランナー
今注目の直木賞作家が、これまでの人生·作品·滋賀愛を熱く語るエッセイ集。滋賀県在住の作者であるから、タイトルの湖とは当然琵琶湖になります。大阪人から見る滋賀というのは琵琶湖しかなく、冬期には米原あたりの積雪で新幹線を遅延させる迷惑極まりない県っていう印象があります。なんて言うと「琵琶湖の水止めたろか!」と脅されるわけなので、これからも仲良くお願いします。なんやかんや言って、滋賀県さん尊敬しています。
2022/12/29
しんごろ
作家の今村翔吾のどう誕生したかわかるエッセイ。雑誌と新聞掲載のエッセイなので、内容が重複してるのはご愛嬌かな。けっこう家族思い。前職では、父とはいざこざがあったらしいけど、それでも家族愛が素敵だ。そして、京都生まれながら、滋賀県愛が素晴らしい。なるほど、こういう経緯があるから、今村翔吾作品は、どこか優しさがあるのかと納得。そして、このエッセイから、時代小説ばかりだけど、読みたい本も増えた。幼少の頃、作風、作品、プライベートなど全てをひっくるめて、何をやらせても今村翔吾は今村翔吾なのである。
2022/10/10
いつでも母さん
どこを切り取っても『今村翔吾』こうして今村さんは成り立っていたのだなぁ‥ちょっとツンと来た。初のエッセイ集。今村ファンには堪らない。少しずつ読むはずがページを捲る手は止まらない。書き下ろしの2編も沁みる。あとがきまで丸ごと今村翔吾を堪能した次第。またいつかエッセイ集でも会いたいのは私だけじゃないはずだ。
2022/10/24
修一朗
元ダンスインストラクターってことは知っていたけどもそれが家業でしかも父親は有名な指導者だということは初めて知った。ダンススクールは隆盛で弟さんが継いでいるんだとか。生い立ちを率直に語ってくれていてとてもうれしい。なんだか申し訳ないぐらい。京都出身,中高は奈良,今は滋賀県に住んでいて,御近所を描くだけでも一生分の小説のネタがあるという。ずっと時代小説を読んで生きてきたっていう筋金入りの読書家の今村さん,小説家になるべくしてなったのだね。
2022/12/21
hiace9000
湖国滋賀の隣県に住む私もまた、湖上の空と湖渡る風に魅了されている一人である。今村歴史時代小説のおもしろさのひとつに「没入映像力」があると私は思っている。活字が並ぶ行間から、ある刹那にガツン!と鮮やかな情景が立ち上がり、人馬の嘶き、剣戟の声、緑野の風香までもが読み手の五感を駆け巡り始めるのだ。今村作品にハマっていく方はほぼほぼ、読中にこれを体験済のはずだ。それを、何とエッセイにまで用いるとは! 作品の魅力に引けを取らない作家その人の魅力。熱さに炙られる心地良さ。さあ湖上の空の下、また新たな本を開くとしたい。
2023/01/30
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