タイムマシンでは、行けない明日 (小学館文庫 は 24-2)
タイムマシンでは、行けない明日 (小学館文庫 は 24-2) / 感想・レビュー
さてさて
『人と人の出会いは奇跡のように見えて最初から決められているのかもしれない』。『南の島』で育った主人公の光二が目の前で大切な人を失い『時空間の研究』に邁進していく先にまさかの『タイムマシン』に乗り込んだ結果論の世界が物語を作り上げていくこの作品。そこには斬新な”タイムスリップもの”の世界が描かれていました。畑野さんの緻密な物語設計に読む手を止められなくなるこの作品。そんな中に畑野さんが得意とされる”恋愛もの”の要素も光るこの作品。“タイムスリップもの”はやっぱり面白い!改めてそう感じさせてくれた傑作でした!
2023/09/12
アッシュ姉
「時空を超えても人は出会うべき人と出会うようにできている。運命を信じたくなる物語。」やっと読めてよかった。何度も胸が詰まり目頭が熱くなった。あの人にはあんな過去が!この人にこんな背景があったのかと驚けるので、これ絶対二冊セットで読まなきゃ勿体ない(集英社へ怨み節)。タイムマシンを使って過去をやり直してハッピーエンドと簡単にはいかないところが面白い。まさにタイトルどおり『タイムマシンでは、行けない明日』だ。読み終わると『ふたつの星とタイムマシン』を読み返したくなるループ本!
2023/11/22
saga
最後に題名とカバー絵が沁みる! 宇宙工学を目指す高校生の光二は、好きな女子に告白できないまま目の前で彼女を失う。そして、同じ物理の分野でもタイムトラベルを研究する大学へ進学し、そこで本物のタイムマシンに出会うのだが……失った彼女を想い続け、過去を変えることを厭わない彼は、周りの人間の想いには気付けず、時空の歪みを引き起こして別の人生を歩まざるを得なくなった。恋愛を含めた人間関係に執着しない彼の軽妙な会話も、この物語を楽しむポイントだ。科学技術の進歩が人類を不幸にするかもしれないという寓意も込められている。
2023/10/22
スカラベ
亡くなった人を救うため、タイムマシンに乗って過去へ。しかし、行ってみると何故か亡くなったのは自分。過去の自分を殺すと未来の自分も消えたり、救えるまで何度もタイムトラベルを繰り返したりするのが定番だけど、戻った世界で過去にはいない自分として居残り続けるっていうストーリーは斬新だった。パラレルワールドが幾重にも存在し、それを踏まえての設定は綿密に考えられている。ラストに登場する人物の正体で最初の謎が明らかになるところもうまく伏線回収されている。世界は違っても運命の人には必ず出会うことができるんだろうな。
2023/04/06
rosetta
文庫オリジナルの新刊かと勘違いで読んだけど結構気に入った。種子島が舞台で高校生が主人公で、さらにカブに乗っているとなれば『秒速五センチメートル』を連想しないわけが無い!本作もそんな切ない物語だった。宇宙航空学者になりたくて種子島から本土の大学に進みたい光二はクラスの長谷川さんを好きになるが、ロケット打ち上げ見学に誘った日に彼女は事後で死ぬ。自分の責任、後悔。進学先の仙台の大学にはタイムマシンがあって、光二は何度も時代を行き来し…パラレルワールドに引き裂かれても人は自分の大事な人に出会える‼️ のかな?
2023/06/06
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