満天のゴール (小学館文庫 ふ 29-2)
満天のゴール (小学館文庫 ふ 29-2) / 感想・レビュー
piro
夫に裏切られ、小学生の一人息子・涼介と共に故郷の丹後半島に戻った奈緒。医療過疎地でナースとして働くことになった彼女が医師の三上や患者達と関わっていく姿を通じ、人生のゴールのあり方を問いかける作品でした。重い主題ですが伊根の穏やかな海がそれを和らげてくれる様。皆んなが穏やかな最期を迎えられるといいな。そして涼介が逞しくてカッコいい。彼はこれからも皆んなに勇気を与えてくれるだろうな。「誰にも救ってもらえないのなら、あなたが救う人になればいい。救われないなら救いなさい。」この言葉が心に深く残りました。
2023/04/30
カブ
夫に裏切られて10歳の子どもを連れて田舎に帰ってきた奈緒。生活のために、ペーパーだった看護師として海生病院で働き始める。医療過疎地域での医療や看護、看取りまでリアルに描ききっているこの作品は、患者一人ひとりにドラマがあり、最後まで自分らしく生きようとする姿を見せてくれる。
2023/03/31
レア
なんて素敵なタイトル(*˘︶˘*).。.:*♡本書を読めばこのタイトルの意味がわかって思わず抱きしめたくなる。最初は寛之と響子のクズっぷりにイライラしっぱなし。涼介の優しい強さに救われた。浮気、離婚、虐待、ヤングケアラー、過疎の医療問題、独居老人の訪問看護、看取り…重いテーマ満載だけど前向きな気持ちになれる読後感。文庫本での再読で巻末の石野秀岳先生と藤岡陽子さんの対談も読めてよかった。
2024/09/14
Y.yamabuki
「満天のゴール」何て素敵なタイトルなんだろうと読み始め、その意味を知ると本当にぴったりの言葉だと感動した。奈緒は夫に裏切られ、傷心を抱えて息子と故郷の丹後半島の伊根に戻って来る。そこで過去に何かを抱えている医師の三上に出会う。ペーパーナースの奈緒は、病院に職を得、三上と共に訪問診療にも赴く。そんな日々の中、彼女の気持ちに変化が…。「誰かの星になる。そんなゴールを自分もいつかできるだろうか…」ラストの奈緒の言葉が印象に残った。彼女の看護師への蟠り、三上の過去、僻地医療と考えることの多い読書だった。
2023/10/03
Walhalla
医療過疎の地域が主な舞台として描かれています。地域医療に奮闘するお医者さんや、終末期に差し掛かった患者さん、あるいは心に傷を抱えた人が多く登場しますが、藤岡陽子さんの作品は、本当に生きる力のようなものを感じます。満点ではなくても、満天の空に向かって悔いのない人生だったと思えたら良いですね。あと、物語とは直接関係はありませんが、以前(仕事で)丹後半島を訪れたことを思い出します。お漬物が苦手な私ですが、へしこを大変美味しく頂きました。
2024/09/06
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