懲役病棟 (小学館文庫 か 46-3)
懲役病棟 (小学館文庫 か 46-3) / 感想・レビュー
ノンケ女医長
ひたすら重荷を背負って生きてきた女性たち。少しでも恵まれた生育環境だったら、年下の刑務官から番号で呼ばれるような扱いを受けずに済んでいたのか。一人で抱えられない、あまりにも大きな問題で服役することになった。古びた聴診器を胸に当てられ、心が揺れ動く。対人援助職の大原則は、自分と相手に適切な境界線を引くこと。そんな距離など全く意に介さない、37歳の医師と、52歳の看護師。偶然出会った受刑者たちに、とことん注ぎ込む情熱さと正義感が、爽快だった。社会の大切な部分に、きちんと光を当てる著者の姿勢に今回も感動。
2023/07/25
いつでも母さん
病棟シリーズの第3弾!あの聴診器は今回パツキンの女医・太田香織の元へ。加えて相方の看護師・松坂マリ江も加わるのだ。なんたってタイトルからも分かる通り今回は女子刑務所に半年間派遣されるのだ。 3弾目にして一番しっくり読めた気がした読後感。あり得ないけど、私にもニ、三日貸してほしいな‥(そっち?)マリ江さんのキャラが好かったなぁ。村木厚子さんの解説も面白く読んだ。
2023/07/06
reo
神田川病院シリーズ三作目。今回、魔法の聴診器を託される医師は”金髪女医”の太田香織と看護師の松阪マリ。最もマリは料理が全く出来ない香織の弁当や夕飯を作ってやる見返りに、聴診器を回してもらう役回り。常習万引き犯、夫のDVに耐え切れず殺害してしまう殺人犯、覚せい剤常習使用犯、孫が虐められ自殺しその事実を隠匿した教育長の自宅に放火した放火犯などの、心の言葉を魔法の聴診器で聴き取り解決していくというもの。何時もながら心温まるストーリー。でも…へその緒の付いた赤ちゃんはあれで解決なのかナァ❓知らんけど🤔
2023/11/25
Karl Heintz Schneider
直前に読んだエッセイの中で著者は自分の著作に共通するテーマは女の生きづらさだと書いている。女子刑務所と言う場所はまさにその縮図。受刑者には様々な罪状でここにいるわけだが、そのほとんどは男に起因するもの。男に騙されてシャブ漬けになった女性、夫のDVに耐えかねて夫を殺してしまった女性、あんな男に出逢わなければ。罪を犯したことは悪い事ではあるが全ての原因は彼女自身によるものではない。刑務所に入るような人は特殊な人だと思いがちだがいつ自分がそうなっても不思議ではない。著者は本書を通してそう言いたかったんだと思う。
2023/08/28
モルク
半年間女子刑務所で働くことになった元暴走族の金髪女医香織とベテラン看護師マリ江。異動の際に渡された聴診器、それは心の声が聴こえるというものだった。シリーズ第3弾。受刑囚の様々な事情、ほんの僅かな金額、でもやめられない万引き、男との関係を繋ぐ薬、暴力夫から逃れるための最後の手段殺人など情は移る。だが出所後彼女らの行き先、戻るところはあるのか。家族も身内に犯罪者がいることは隠したいという気持ちもわかる。が、行き先のない彼女らを受け入れる施設はあることはあるがそのキャパは極めて少ないなど知らないことも多かった。
2024/08/04
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