兵士に聞け (小学館文庫 (す7-1))
兵士に聞け (小学館文庫 (す7-1)) / 感想・レビュー
James Hayashi
95年刊。ほぼ800ページ緊張感途切れず読み終える。陸上自衛隊員へのインタビュー、海上自衛隊護衛艦「はたかぜ」試乗、奥尻島地震と津波、カンボジアPKO派遣など自衛隊の普段見えてこない任務、使命、off dutyなど多くをカバーしている。隊員不足に悩まされ、国民の多くから見下されているような扱いを受け、自衛隊員も国を守っているという遂行感、使命感、目的感が薄くself motivation に悩まされていることが感じらる。戦争からは最も遠い兵士と言われ、「日陰者」として国民の税金を喰らう。続く→
2018/08/19
ロッキーのパパ
最初の鏡のエピソードがよかった。ここでこの本に引き込まれてしまい、800ページ近い大著なのに飽きることなく読み進めることができた。15年ほど前の作品なので、その後の自衛隊の変化も知りたくなる。続編も読もう。
2010/07/19
jiangkou
自衛隊ルポ。防衛庁の取材などではなく基地、護衛艦、レーダー施設で駐屯する兵士、下士官を数年にわたって取材したもの。被写体の話を無理に物語にし、取材者一人称でないため陰影の書き方が曖昧な部分もあるが、補って余りある事実が積み重なれている。初のPKOの時代でもあり、紛争地に投入された自衛隊の無力さ、人命救助すら本番経験が少ないため機敏に動けない統率力、構造的な問題としてある文民統制=官僚機構による軍組織の管理という矛盾。根源的な問題が見て取れる。国防に期待するのであれば自衛隊は軍隊でなければならないと感じた。
2018/07/10
ブラックジャケット
以前から読みたいな、と思っていた作品。直接自衛隊員に取材する実証主義がノンフィクションの醍醐味。吉田茂が警察予備隊として再建したのだが、自らが日陰者と評する矛盾を抱えたまま今日に至る。地道な取材は多様な隊員の素顔をいきいきに伝えている。旧軍との差別化を図る陸自と過去の 継承する海自との対比が鋭い。日米開戦に反対したという旧海軍側の主張が長らく論壇に影響を与えた。その末裔の悩みは大きい。カンボジアでのPKO出動は本著の圧巻といえる。実弾が飛んでくる恐怖より政治優先。隊員の命がダモクレスの剣の下に置かれた。
2020/02/08
モモのすけ
『亡国のイージス』の参考文献のひとつに挙げられていた本でもある。「ほとんどの日本人は、フェンスの内側で黙々と仕事をこなす無名の隊員たちの姿にこの半世紀近くの間、目を向けようとはしなかった」
2013/03/17
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