薩摩燃ゆ〔小学館文庫〕 (小学館文庫 あ 9-1)
薩摩燃ゆ〔小学館文庫〕 (小学館文庫 あ 9-1) / 感想・レビュー
gonta19
2007/10/20 ジュンク堂住吉シーア店にて購入。2016/11/15〜11/22二年半ぶりの安倍作品。幕末の薩摩藩の活躍は良く知っていたが、その影に調所広郷のような人物がいたことは知らなかった。小説の世界とはいえ、理不尽な要求に耐え、職務をこなす。今の時代ならパワハラと、言えるような状況であるが、こんな時代の方が世の中逞しく、ある意味正しい方向に向かっていたのではないだろうか。決してりふじんさを褒め称えるわけではないが、昨今の甘やかし社会に感じる危惧を喚起する作品であった。
2016/11/22
シュラフ
"財政再建とは"と"薩摩藩とは"という視点で興味深い小説。主人公は調所広郷。幕末の前あたり薩摩藩はとてつもない借金を抱えて破産寸前であったが、この借金を一掃したのが調所広郷。返済の長期化、清との密貿易、奄美の砂糖の専売制、などの手法。現代日本のどうしようもない借金の解消法を考える場合の参考になる。そして、調所広郷の一番の功績はなんといっても、西郷隆盛や大久保利通らの人材を発掘したことである。薩摩の財政を豊かにして、後の維新の人材を発掘したとすれば、"調所広郷なくば明治維新もなし"とは極端な言い方でもない。
2014/12/10
モーモー
薩摩藩の台所を立て直した調所笑左衛門広郷の物語。 500万両という莫大な金額になった借金の財政再建を目指す。 密貿易、砂糖農家からの苛酷な取り立て、貨幣偽造。なりふり構わないやり方で借金を返済していくが、その代償として子息二人を失う。 明治維新の立役者薩摩藩の躍進は、基礎を作った調所笑左衛門広郷の功績なしではありえない
2024/03/19
鐵太郎
江戸時代後期の薩摩藩の膨大な借金財政を改革し、幕末に軍事・経済大国としてのし上がる基礎を作った調所笑左衛門廣郷(ずしょ・しょうざえもん・ひろさと 1776-1849)の物語。描かれるのはその老年時代、53歳から74歳までで、彼が辣腕を振るって財政・政治改革を成し遂げ、自殺に追い込まれるまで。石高77万石で実質の蔵入り高が30万石--24万両ほどの薩摩藩が、唖然とするような放漫経営で五百万両(年間利息80万両以上)という天文学的な借金を抱え込んだ状態を「なんとかせい」といわれて成し遂げた人でした。
2022/06/10
けいた@読書中はお静かに
鹿児島ではわりと名前の知れた人。薩摩の財政破綻を借金踏み倒し、偽金作り、黒砂糖地獄、密貿易などで立て直した人。文面だけでは極悪人っぽいですが、この人が全ての泥を被って財政を立て直すことによって軍事強化が行えたこと。若い有能な人材の登用を島津斉彬に進言して、後の西郷隆盛や大久保利通などの維新立役者を輩出するきっかけを作った人なのでこの人がいなかったら明治維新は成り立たなかっただろうという重要な人物の物語。
2013/06/11
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