坂本ミキ、14歳。〔小学館文庫〕 (小学館文庫 く 6-1)
坂本ミキ、14歳。〔小学館文庫〕 (小学館文庫 く 6-1) / 感想・レビュー
ましゃ
我が家はサザエさん家と同じ7人家族。親、姉、ミキ、弟。それぞれに問題を抱えた家族と中学のいじめを描いた作品。一匹狼気味で自分の気持ちに正直なため学校でいじめられている三女ミキ。自分の事で精一杯で家族ってめんどくさいと思いつつもほっとけない心優しい女の子。しかし中学のいじめはこういう家庭が大変な子でも標的になってしまう…幼さが残るゆえ残酷。いじめは交通事故のようなもの。どんなに注意したってある日突然訪れる…。本書は家族の再生と作者なりのいじめに対する立ち向かい方をしっかり示した、勇気をくれる青春小説です。
2018/01/14
タルシル📖ヨムノスキー
今時珍しい7人家族の坂本家。無職で毎日プラプラしている父、息子の将来に期待する母、ニートの息子(父)に小遣いを渡すおばあちゃん、破天荒な短大生の長女、美少女でちょっと変わった高一次女、第二次成長期真っ只中の優秀な中一長男。そんな一見バラバラな家族を繋ぎ止めるのは、三女のミキ、中学二年生。ミキの視点で坂本家の日常が綴られていく物語。いじめや思春期特有の親子の確執、精神疾患なと重いテーマを扱ってはいるが、暗くなりすぎないところがいい。いじめの解決には「問題の本質に関して抜本的な解決策の提示が必要」…たしかに。
2020/10/08
マイマイココア
無職の父、息子大好き母、サプリメント大好おおばあちゃん、大仏顔の長女、美少女の次女、いじめに悩む長男、そして普通の三女ミキ。いろんなゴタゴタありながら、それでも家族幸せに生きていく。ミキはとても強い子。周りに流されず、家族や友達を救っている。素敵な子です(ゝω・)
2015/03/18
エドワード
次は中学生が主人公だ。中二の坂本ミキちゃん家は7人家族。父は失業中、長姉は両親とケンカして家出同然に出て行ったがミキとは交流あり。高校生の次姉は成績が悪く、成績の良い弟の源五郎はイジメにあっている。ミキのクラスでも、太めの大副さんがイジメられていて、ハード過ぎる周囲のフォローでミキは手一杯状態だ。みんないい人なのに辛い目にあっている。実に不条理だがこれが日本のリアルだ。でもみんな、変な助けられ方をせずに、自力で立ち直っていく姿がすがすがしい。今年最後になりそうな本、スッキリしました。良いお年を。
2017/12/30
ジョニーウォーカー
毎回たいした事件が起こるわけでもないのに、なぜかいつも見てしまう「サザエさん」。この小説も、そんな不思議な心地よさをまとった作品だ。舞台となる坂本家は、くしくも磯野家と同じ7人家族。けれど、父親は無職で呑んだくれ、次女は精神病を患ったりと、事情はなにかと複雑だ。以前に読んだ『万寿子さんの庭』でも感じたことだが、この著者の描くテーマはじつはけっこう重いのに、読んでいて暗い気持ちにならないところがいい。それは深みのなさではなく、人間に対して絶望していない彼のまっすぐな人間性から来ているように思うから。
2011/04/24
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