いつか棺桶はやってくる (小学館文庫 ふ 10-4)
いつか棺桶はやってくる (小学館文庫 ふ 10-4) / 感想・レビュー
まいど
ちょっと色々ありまして本が読めない日々が続き苦しい毎日。 今まで感動的でコメディ要素もたっぷりだった藤谷作品に加わったブラックな一面たっぷりの一冊。 科学者である主人公が発明した通称「まむし」は人の制御を離れ暴走を始める。そんな中妻は家出し謎をたくさん残していく。主人公の周りには怪しい人々が現れ始め少しずつ正体を見せ始める。 妻を迎えに行く長崎への旅、妻は何故家出をしたのか?「まむし」はどうなるのか?最後まで外連味たっぷりで冷や冷やな作品でした。
2012/10/15
shun
相変わらずクセのある物語を書くなとは思いつつ、徐々に引き込まれてしまう。どこか哲学の要素を含んだ示唆のある内容はとっつきにくいようでいて、麻薬のような快感を味わわせてくれる。一見人との結びつきに無頓着なようでいてひどくそれを求めている、そういった人は案外多いだろう。ただ、明確なサインを発していることは少なく、傍から見るとそれはなかなか気づかないものだ。タダオの妻は幼いころから現在に至るまである種の孤独を抱えていたように思う。それに父親は気づいていただろうか。否。タダオは? 遅すぎた。
2013/12/14
punk1978
この人は笑いを取りにかかると非常につまらないのだが、重い話を書かせると才能を発揮する。本書もそう。自らの日常を漫然と生きていればいるほどタイトルの意味も重みを増してきて、自分の来し方、これからの生き方について考えざるを得なかった。 ただし僕にとって本書の一番の問題は、文章の質にある。 この軽妙なタッチだけはどうにもこうにも好きになれないのだ。 紡ぐ物語は好きだが、文章は嫌い。 藤谷治はそういう作家だから困る。
monochrome
言いたい事が微妙に伝わってこないのがもどかしい。根底に流れているものはわかるのだけど、なかなか前にでてこないのでちょっといらいらするかな。でもそういう読み方をする本なのだろうか。'01.9.11との関連性もよくわからない、ないのかな。
2011/08/22
らむま屋
微妙に奇妙な小説だった。数年前、たまたま見たよしもとばなな公式サイトの日記で「登場人物が少しぶれているのは残念だけど、いままでの藤谷くんの小説でいちばんよかった」(うろ覚えなのでもの凄い大意)というのを読んで、へえ〜文庫になったら読んでみよう、と思ったのが本書を知ったきっかけだった。そして読んでみてなんだかよくわからない。退屈なようでいて、でも先も気になる。なんとも捕らえどころのない感覚だった。しかし得体の知れない喪失感があった。
2010/02/09
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