万寿子さんの庭〔文庫〕 (小学館文庫 く 6-3)
万寿子さんの庭〔文庫〕 (小学館文庫 く 6-3) / 感想・レビュー
再び読書
万寿子さんの変化に驚いた。最初は京子の優柔不断さにイライラさせられたが、万寿子さんと友人関係となってからは、何故か清々しく読み進めた。そして最後の万寿子さんのメッセージは、やはり泣きそうになりました。しかし、この様に理性が途絶える予感は、感じ取れるものなのでしょうか?もう老後も感じられる年齢になるとシャレになりません。「明日への記憶」程自分に近い年齢での話ではなかったので、苦しいところまでいかなかったが、この終盤も切ない。黒野氏の実力を感じさせる作品でした。
2016/10/10
やも
京子(20)が引っ越した先でご近所さんになった万寿子さん(78)。2人の関係を友情と呼ばずしてなんと呼ぼう。最初は京子に寄り目だのブスだのと悪態をついていた万寿子さんだが、なぜか次第に歯車ががっちり合っていく2人。ただ楽しいから2人で買い物や旅行にも行く2人。寝おちした京子のほっぺを万寿子がスッと撫でるシーン、私ずっと忘れられないと思う。脇を固める京子狙いの男子たちの存在も良い。なのにこのラストってのが、もう😭育んできた友情が行き着いた先は、2人の花が咲くあったかい場所だったね。表紙も最高。★4.5
2022/09/19
あつひめ
胸に迫るものがあるなぁ。最初はなんだ?このお婆さん…と正直思ったけど、万寿子さんと、京子ちゃんの凸凹コンビは、心の中の物が結び付いた珍しい関係だったんだなぁ…と読み進めるうちに感じた。認知症が進む中、自分の生活を犠牲にしてまで面倒を見てあげるという、なかなかできないことをやってしまうのは、この年の離れた二人の関係が、心のスイッチを押しちゃったんだろうな。私は、認知症の介護、できるだろうか?ってすごく不安になった。自分の親の面倒を冷静に見れるだろうか。それには、元気なうちの親子関係がスイッチになるのかな?
2014/11/05
Tsuyoshi
20歳と78歳という年齢差を超えた隣人付き合いから発展した女性同士の友情。お互いが素直に口に出せなくても内心は通じあっているという関係性に微笑ましさとある種の羨ましさを覚えながら読み進めた。恋愛要素もサブストーリー的に進行しこちらも作品に彩りを添えるものでよりホッコリした気持ちになった。
2018/07/11
いたろう
社会人1年目の京子が移り住んだアパートの向かいに住む独り暮らしの老婦人、万寿子さん。最初は無愛想で陰険な老人と思われた万寿子さんと京子の交流。徐々に心を通わせていく二人の姿がほほえましく。二人で行うガーデニング、―アマリリス、チューリップ、リリカシャワー、コデマリ、ゼラニューム、サルビア―、ショッピング、そして箱根旅行、このまま世代を越えた二人の友情の話が続くやに思われて、よもやこんな壮絶な展開が待っていたとは。恋愛(未満?)の話も出てくるものの、それは枝葉でしかなく。最後はもう涙なくして。
2016/01/10
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