蝦夷地別件 (上) (小学館文庫 ふ 4-4)
蝦夷地別件 (上) (小学館文庫 ふ 4-4) / 感想・レビュー
NAO
再読。時は18世紀末。蝦夷地では松前藩がその地の富を一人占めしようとしており、幕府もまたその地の富に目を付けて直轄地にしようと目論んでいる。そして、蝦夷地の民の間では、和人の横暴に対する怒りが激しくくすぶり、今にも爆発しそうになっている。択捉島にやってきたポーランド人、蝦夷地に流れ着いた僧、殺し屋、侍。誰もが、いわくありげな者たちばかりで、彼らの今後の動向も気になる。
2020/01/28
翔亀
江戸時代、寛政の改革の頃の1789年に起こった「クナシリ・メナシの蜂起」はアイヌ人の和人に対する最後の武力による戦いとして知られるが、その経過は専ら和人=幕府側の史料しかなく粉飾があるとされる。道東・国後島ではすでにロシアの侵入があり幕末の開国をめぐる国際環境を先取りする激動の時代。本書はこの蜂起を題材にした本格歴史小説。松平定信の幕府、北海道の松前藩、先住民族アイヌ人、ロシア(本書では暗躍するポーランド人)の四つ巴の未知の歴史を、史実に即しつつ想像力豊かに描きって歴史小説の醍醐味を味わわせてくれる。
2015/06/03
キャプテン
★★★★☆_「きゃぷ衛門とゆく時の旅フェア」【西暦1789年江戸時代─蝦夷地探索編】アイヌたちの国、蝦夷地。シャクシャインによる一斉蜂起から120年後、アイヌたちは和人からの弾圧に苦しんでいた。暴利の交易、虐待される男たち、無残に手篭めにされる女たち。病んで、衰えていくアイヌ。そこに集まる蝦夷地探索の冒険家、時代の変化に苦しむ松前藩、謎の侍、仏門の僧、そして、日本を鋭く見据える露西亜。変わらぬ生活を求めるがゆえに、時代にすり潰され始めるアイヌと蝦夷地。確かな一点に向かう群像にのまれる。集結の上巻にござる。
2018/02/05
きょちょ
18世紀江戸時代。 主に蝦夷地を舞台とした物語。 松前藩と商人たちにこれだけ好き勝手にされては、アイヌ人が怒るのも当たり前。 あるポーランド人が、ポーランドを守るために、ロシアの南下政策を阻止しロシアの政策を別の方向に向けるため、アイヌに鉄砲を300丁供給し松前藩と戦わせようと画策。 さらに、幕府の老中松平定信は松前藩をおとりつぶしにしようと画策。 さてどうなるか。 アイヌの「オッケニ」というおばばはとても恐ろしいおばば。 葛西政信という侍と静澄という坊主が蝦夷に来た目的は謎。 ★★★
2018/12/20
ひよこ
◆長年、和人の横暴に苦しんできたアイヌが武装蜂起を画策し、密かにロシアから銃300挺を買いつけようとする。そこに松前藩と、蝦夷地を直轄地に置きたい幕府、ロシアの南下政策を阻止したいポーランド人、様々な人物組織の思惑が絡み合ってくる。◆まず、登場人物の名前を覚えるのが大変!何とかついていっております!しかしストーリーが壮大だ!史実(国後・目梨の乱)を題材にしているそうなので大体の結末は予想できるが、どんな形で収束していくのか、楽しみ!中巻に期待!
2017/11/05
感想・レビューをもっと見る