きみは誤解している (小学館文庫 さ 4-3)
きみは誤解している (小学館文庫 さ 4-3) / 感想・レビュー
masa
ごく稀に、自分のために存在してるとしか思えない小説に巡り逢えることがある。今風に言えば俺得。その瞬間の快楽こそが、僕が小説を読み続ける理由の一つでもある。論理的思考なしに心に食い込む言葉。心象風景のデジャヴ。まるでアハ体験。殆どの場合、それは有名な人気作ではなかったりする。そして、僕にとってこの作品がそれだ。これほどまでに賭博者を描き切った物語は他にない。著者の尋常でない賭博心理への造詣に脱帽。『競輪』を『競馬』に置き換えても、そのまま読める。鉄火場での博才は人間として屑で、真人間ほど鉄火場では屑なのだ!
2018/07/22
さっとる◎
人は2つに分けることができる。ギャンブルをする人間としない人間と。それからギャンブルをする人間も2つに分けられる。本物と偽物と。聞いてもいないのに武勇伝を語りたがるのはだいたい偽物だから気をつけたほうがいい。本物は更に2つに分けられる。才能ある本物と才能のない本物と。才能のない本物は屑と呼ばれるかもしれない。そして屑はまた2つに分けられる。矜持ある屑と軽蔑すべき屑と。矜持ある屑になりたい。お薦めされたとかみんな買ってるとかどうでもいいんだよ。私は買った。それだけが本当。さあ、責任をたった独りで背負い込め!
2019/12/01
ちゅんさん
競輪場を舞台にした短編集。ギャンブルに溺れる人たちばかりなのに不思議と読後感は悪くない。会話のユーモアなども心地よくどうしようもない人たちばかりだが人間味があっていい。“ギャンブルの手を借りなくても人生なんてもともと狂ってる”という台詞が印象的。まったくその通りだ。“競輪”が題材なので敬遠する人もいるかと思うがご心配なく、最後に著者のサービス精神たっぷり用語解説付録もあるしなによりすごく面白いですから。
2019/08/23
ソラ
競輪に興味が無いし、そもそもギャンブルの類が嫌いなので最初は取っ付きにくくて仕方が無かったけれど、最後になると理解はできないけれどなんとなく悲哀的な何かを感じた気がした。
2014/10/31
a子
何コレ!サイコー!!あぁ!愛すべきダメ人間!ビバ!ギャンブラー!!競輪にまつわる6つの短編、これがどれも面白い。競輪なんて興味を持ったことはなかったけど、怒号と歓声が轟き ハズレ車券の吹雪が舞う(想像)…みたいな実際の競輪場に身を置いてみたくてウズウズする。ああ、コレよ、こうでなくちゃ、やっぱり人間って面白い。正論はつまらない。タイトルから巻末の飄々とした競輪用語集までまるっとお気に入りです。
2019/11/20
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