新宿・夏の死 (小学館文庫 ふ 4-7)
新宿・夏の死 (小学館文庫 ふ 4-7) / 感想・レビュー
みっぴー
《2018夏物フェア》第十三弾。読むのが非常にしんどい作品でした。というのも、どの話も『普通』から足を踏み外してしまった人達の物語で、パワハラで自殺した息子の復讐、オカマバーのママ、サラ金の取り立て、ホームレス、、、などなど。できれば目を背けたい世界ですが、いつなんどき仲間入りするか分かりません。ほとんどの話は救いがありませんが、ぼったくりバーの仕組みや、サラ金の取り立て方法などが詳しく書かれており、危機管理のために役にたつかもしれません。「上に政策あれば下に対策あり」がお気に入りのセリフでした。
2018/08/01
GAKU
八つの短篇集共通点は舞台が夏の新宿という設定のみ。1話、リストラ要員として窓際に追いやられ自殺した息子の父の話。父が取った行動は。2話、新宿二丁目で社会からも家族からも虐げられながら、たくましく生きていくゲイ達。3話、ヤミ金融の取り立て屋に身を持ち崩した元銀行員。4話、右翼団体で所長の手足となり犯罪に手を染めていく若者。5話、叔母が経営する歌舞伎町のぼったくりバーで働く少年。6話、新宿に流れ着いた元高校教師のホームレス。7話、新宿の割烹で働く板前の青年とチベット出身の女性。8話、興信所勤めの元女刑事。⇒
2024/09/24
Katsuto Yoshinaga
「俺の読者は目方で本を買う」と豪語する著者ならではの、2001年前後に発表された作品群からなる781ページの短編集。本書で登場する右翼活動家に「右翼も左翼もたがいに敵を見失い、ぶつかりあう根拠が消え、左翼の連中は環境問題に突っ走り、右翼は民族問題を取りあげざるをえなくなる」と大船戸は語らせている。各編のモチーフ(パワハラ、LGBT、闇金etc.)が、これまでの大船戸作品とは趣が異なる。「二十世紀への訣別の思い」と解説で大沢在昌氏が評しており、これには納得。そして、古さを感じさせない大船戸の想像力に感服。
2024/07/07
浦
舞台は20数年前の日本か。昔だから良かったと思いがちだが、今と変わらぬ絶望感と陰湿さ。この国はあの頃も腐っていた。著者が今を描いた作品を読んでみたいが、叶うはずもない。
2020/03/12
けじ
いつもの船戸作品とは趣が異なる短編集。どの作品も、後味の悪すぎる結末が妙に後を引く。
2013/03/30
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