ぼくたちが聖書について知りたかったこと (小学館文庫 い 38-1)
ぼくたちが聖書について知りたかったこと (小学館文庫 い 38-1) / 感想・レビュー
ミカママ
「苦しいときの神頼み」くらいの宗教心の持ち主のわたしだが、欧米文学を知るために聖書の理解は必須だと思い、知識としての興味は子どもじぶんから続いている。聖書第一人者の秋吉輝雄氏に、我らが池澤夏樹先生がお話を伺う今作。聖書の成り立ちから読解まで。現代に間違って伝わっている内容など、万年聖書初心者をも飽きさせぬ筆致であり、秋吉氏はもとより池澤さんのその知識量に驚かされる。おふたりの画像を見てどちらがどちらかわからぬほど似てらっしゃると思いきや、なんとお二人はお身内だそうで。改めて「血」を認識。永久保存。
2022/10/02
らぱん
①刺激的で面白い。池澤夏樹と縁戚関係にある比較宗教学者の秋吉輝雄の対談で、池澤は素人代表として秋吉に教えを乞うと言うものの、基本の知的レベルが高いので謹んで拝聴させていただいた。 学術用語や専門用語を避け一般的な事象に例えて、聖書を入り口にユダヤ教、キリスト教、イスラム教を解きほぐしながら、包括的に信仰や宗教を考える。環境の違いが異なる思考体系を作り、相互に影響し合い、神話となり常識になり教義となる。旧約と新約の関係性やユダヤ人と括られる人々について理解は深まったが、複雑であることを再認識した。②↓
2020/03/02
Miyoshi Hirotaka
聖書は紀元前11世紀から紀元後2世紀年頃までの記事の寄せ集め。ヘブライ語のものがギリシャ語に訳される過程で時制、つまり、時間軸が誕生し、過去と未来が区別されるようになった。旧約と新約の誕生もここに因り、部族宗教が世界宗教になったのもこれが原動力。また、最初は朗誦を記録する巻物だったものが、13世紀頃に冊子化し、検索機能が付けられ、読み方も黙読が主流になった。便利に拾い読みができるようになった代わりに全体像が見失われがちになった。聖書の個々の記事は物語の大きな文脈に照らして理解する必要がある。
2013/08/06
たま
2009年刊。池澤夏樹さんと聖書研究者の秋吉輝雄さんの対談。ユダヤ教成立の過程、旧・新約聖書正典編集の経緯など聖書考古学や古代イスラエル史を踏まえた解説が興味深い。お二人の言うとおり、旧約聖書は前8世紀~前2世紀に成立し、神話、歴史、法律、文学など広い分野を包含し、厳密に伝承されてきた得がたい書物。たまたま昨日イスラエル考古学庁が死海文書の新しい断片を60年ぶりに発見したという記事を読んだ。膨大な旧約聖書研究にこの断片がまた新しいページを付け加えることになるのだろう。歴史文書に対する執念のすごさを思う。
2021/03/20
ケニオミ
図書館がまだ閉まっているので、読む本がなくなり、連れ合いが図書館から借りてきた本のつまみ読みです。聖書は新旧ともに読んだことがあり、教会にも長い間通っていたので(今は隠れキリシタン。)、知った事ばかりだろうと思っていましたが、反対に知らないことばかりで、とても勉強になりました。
2020/05/30
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