欲望のメディア (小学館文庫 い 7-4)
欲望のメディア (小学館文庫 い 7-4) / 感想・レビュー
ころこ
本書には戦前のドイツと戦後の日本という対照が描かれています。ヒトラーのメディア戦略のひとつにテレビはありました。しかし、散漫で表層しか映さないテレビには、ラジオの声のようなイデオロギーを注入する装置としては失敗します。戦後、高柳健次郎が目指したテレビ国産化のような理想を尻目に、正力松太郎は戦後アメリカから輸入した技術で、民放初のテレビ放送網を始めます。出版資本がナショナリズムの成立に不可欠だとするアンダーソンの理論を借りると、正力のつくった放送網は、戦後日本をナショナリズムではなく欲望の基に成立させたとい
2019/12/31
レフラー
圧倒的。自分がメディアの側に立つ人間になったことで、より鮮明に本書の意義が伝わってくるようだった。 テレビ放送黎明期の描写、そして国家との関係、グローバル社会との関係、すべてがいまの自分につながってくる。
2020/11/10
オザワ
元東京都知事の猪瀬氏(@inosenaoki)による「ミカドの肖像」、「土地の神話」に続く近代日本論シリーズの第三弾。 正直、「ミカドの肖像」・「土地の神話」は読むのを途中でやめてしまったが、本書は面白かった。 終章にある「放送」と「通信」の違いによる衛星放送免許獲得の顛末などは、色々な学びがあると同時に、日本という国の構造的欠陥が浮かび上がっており特に印象に残った。
2018/04/08
bittersweet symphony
96年の新潮文庫初版を未読本棚から。週刊誌連載ならではの小ネタをふんだんに散りばめながら(本書の面白い部分はこの小ネタの集積にあるともいえる)、一番この著者が興味を持っているのが利権の構造的な部分であるのがよくわかる。政治屋に化けたのも生理的にそういうものが性に合ったからだろう。
2021/01/29
azur
フジ、日テレ、テレ朝、TBSのうち、一番早くできたのはどこか? 知らない人が多いのではないだろうか。30年前の本だが、テレビの歴史の記述としての価値は今も下がっていない。
2020/04/12
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