美しい昔 近藤紘一が愛したサイゴン、バンコク、そしてパリ (小学館文庫 の 4-2)
美しい昔 近藤紘一が愛したサイゴン、バンコク、そしてパリ (小学館文庫 の 4-2) / 感想・レビュー
makimakimasa
近藤は著書に何も記していないが、子連れのベトナム人と再婚した事実は実家に歓迎されず、死後は相続で揉め、今では連絡の行き来も無いという。弟曰く、近藤は妻と2人だけの世界にいる事を好んだ。ノンフィクションに飽き飽きしていたのも面白い。人間本質の普遍的側面をまさぐる方法論として、記者として事実だけに即して書くより(噂話の多用等、文学趣味が出て細工を施すのを好んだ)、縛り無き自由な小説家への転向を目指していた。新人賞を取った『仏陀を買う』も読んでみたくなった。本書は文章は平凡だが美しい写真がそれを盛り立てている。
2021/12/03
てくてく
当時においては珍しかったベトナムの生活やベトナムで結婚した妻とその連れ子(日本国籍取得)の話など、かつて楽しんだ近藤紘一氏の人生をたどっていて、懐かしく、また、楽しかった。南国の緑の写真も美しかった。ベトナムで生まれ、母が日本人と結婚した結果、日本国籍を取得し、日本で暮らす時期もあったが、フランスで結婚して生活をしているという、波乱万丈の人生を送った近藤氏の養女へのインタビューで、「人間にとって、『私の国』とはそこに住んで暮らしていた心地よい国のことではないでしょうか」というセリフが印象的だった。
2016/05/25
はち
昨日読んだ本の作家の足跡を追う紀行文、日本、ホーチミン、バンコク、パリを転々とする。「サイゴンから来た妻と娘」のその後もここで。家族とは何か。国籍とは何か。ユンの言葉はもう一度考えないといけない。私の場合国籍ではなく居場所の問題だけど。
2013/09/11
DEE
戦時中のベトナムを報じたジャーナリストと言えば開高健とこの近藤紘一が挙げられる。 残念ながら近藤紘一の著書を読んだのは彼の死後だった。 夫人を亡くした後に子供のいるベトナム人と再婚、その顛末と日常生活を書いた「サイゴンから来た妻と娘」は、愛に満ち微笑ましいのと同時に、ジャーナリストの視線や亡くなった奥さんの思い出などが絶妙に絡んだ良書だった。 そんな近藤紘一の半生を追った一冊だけど、いまさらこれを書く確固たる理由がよくわからないな。
2017/05/19
Endo Takafumi
加藤紘一と言う人も彼の作品読んだことはありません。本書を読んでとても読みたくなりました。若くして亡くなったが妻と娘を支え、濃厚に生きた彼の作品を、来年父親になる自分は読むべきですね。そして、とてもベトナム料理が食べたくなりました。
2013/12/16
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