母恋旅烏 (小学館文庫 B お- 2-1)
母恋旅烏 (小学館文庫 B お- 2-1) / 感想・レビュー
shizuka
父親の失敗で家族が崩壊。長男長女は消えた。家族三人で劇団に舞い戻ったあたりから、物語がぐっと濃くなる。次男坊寛二。18歳。少しだけ知能が遅れている。ずっと純真な子供のよう。そんな寛二の語りは物語を柔らかく演出する。虫の息だった劇団がダメ親父の実力でだんだんと有名に。満員御礼が続いていたそんな時父親を支えていた母親が姿を消す。母親から寛二への手紙。込められている母の愛に涙。劇団が大きくなるにつれ、兄も姉も戻ってきた。けれど母はいない。母はいまどこにいるのだろう。寛二は「母恋旅烏」になった。会える日を思って。
2016/12/04
紫 綺
2004年出版、双葉文庫にて読了。どさ回りの大衆演劇一座、家族の成長物語。笑える、感動する、面白い♪
2019/09/21
90ac
かなり前から気にかけていた作品。大衆演劇の座長というと梅沢富美男さんが頭に浮かぶが、この作品の花菱清太郎は才能はあるがダメオヤジ、というイメージ。ユニークな家族の様子も荻原節全開で読んでいて楽しい。タイトルは類に漏れず「・・タビドリ」と読んでいた。これは芝居の演目だが、この大衆劇団の家族の演目でもある。母を想う寛二君や父の切なさが漂う。ラストが尻すぼみになった感じで残念。
2016/01/07
reo
花菱清太郎は大衆演劇の一座を立ち上げたのはいいのやが、持ち前の思いつきと出たとこ勝負で借金が嵩み家計は火の車。件の清太郎、家長の面目で家族レンタル業ちゅう商売を始めよった。これがまたハチャメチャで大概笑らかしてくれる。中盤から後半にかけて清太郎は、恩義のある大柳団之助の倅(ボン)孝助の一座に加わるのやが、家族の絆を保とうとすればする程、バラバラになってまう。その辺の機微をぼく(寛二)の視点で下ネタも交え面白おかしく読ませてくれる。「おもしろうてやがて悲しき母恋旅烏」という感じやね。読ませてくれまっせ。
2018/02/24
そのぼん
大衆演劇の一家の紆余曲折を描いた物語でした。 極貧で、結構大変なことになっているこの一家の現状ですが、そこはかとなく明るくて、笑える雰囲気でした。重松清の作品とも通じるような、前向きなお話で元気を貰えました。
2012/11/12
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