人類は衰退しました 1 (ガガガ文庫)
ジャンル
人類は衰退しました 1 (ガガガ文庫) / 感想・レビュー
スズ
人類が衰退し、平均身長は十センチ、楽しい事と甘~いお菓子が大好きな妖精さんが地球の新人類となった世界で、人間と妖精さんの橋渡しを行う調停官となった少女・「わたし」が、妖精さんの起こす不思議な現象にお付き合いする事になる物語。人間を凌駕する科学技術を有しているのに、わたしの作ったお菓子にイチコロになって餌付けされてしまう妖精さんや、妖精さんに「食べちゃいますよ」と言ってビビらせるわたしも可愛く、次々美味しいお菓子を妖精さんの元に持参していく日々を送る中で、徐々に彼らに懐かれていく彼女の姿にとても和みました。
2017/05/14
そのぼん
何ともメルヘンチックなお話しでした。おとぎ話の様な雰囲気でした。以前に見ていたドラマ『ゴーイングマイホーム』に出てくるクーナを思い出しました。
2013/01/15
ぺぱごじら
物語の世界観と雰囲気に、伊坂幸太郎さんの『終末のフール』に通じる寂しさや空しさも感じましたが、差し迫った絶滅より穏やかな『衰退』という移行期の賑やかさは、居直った明るさとは異なるほのぼのしたものがありました(笑)。(所詮はぼく自身を取り巻く程度の狭い狭い世間ですが)ドタバタに巻き込まれている最中に安らぎを求めて慌てて読むのではなく、一線を退いて充電している今のような時期に、ある種の臨場感を覚えながら読めたことがとても幸いでした。。報告書が欺瞞と改竄と矮小化に満ちていて好きです(笑)。2013-69
2013/05/25
HANA
人類がゆるやかな衰退を迎えたあと、地球の主役になったのは「妖精さん」。国際公務員の調停官となった「わたし」と彼らの関係を描いた一冊。ポストアポカリプスを描いた作品は多々あれど、主役を明け渡した後、そこにいる人類は大概地獄めいた環境にいるのばかりなので、こういうふわふわした内容は貴重。何より人類の持つ乾いた諦観というか、こういう透明な空気感は大好きです。「妖精さん」と「わたし」の関係がクローズアップされがちですが、宗教の誕生とか進化のパロディとか、根っこの部分ではしっかりとSFをやっているように思うのです。
2021/10/15
流言
独特の無責任ながらも等身大な調停官の一人称”わたし”とこの世界の霊長たる”妖精さん”の織りなす平和で愛らしく、同時に不安感を駆り立てる物語。行動力と時間の化身めいた”妖精さん”の手に掛かると、”わたし”との間でなされたアンバランスで何気ない会話も世界を改変する一因になっていく。日ごとに爆発的に成長しては一瞬で搔き消える世界は楽しくて楽しくて次はどうなるのか? と楽しみが連続する反面、”妖精さん”の創った存在が妖精さんの世界を飛び出て行くにつれてどうなってしまうのか? と心地よい不安定さを感じさせてくれる。
2014/03/24
感想・レビューをもっと見る