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犬と魔法のファンタジー (ガガガ文庫 た 1-19)

犬と魔法のファンタジー (ガガガ文庫 た 1-19)

犬と魔法のファンタジー (ガガガ文庫 た 1-19)

作家
田中ロミオ
えびら
出版社
小学館
発売日
2015-07-17
ISBN
9784094515633
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犬と魔法のファンタジー (ガガガ文庫 た 1-19) / 感想・レビュー

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海猫

冒頭の就活場面からキツい。ファンタジー的な世界観と世知辛い現実性の混ぜ合わせ方が最悪で、ロマンやワクワク感がガリガリと砕かれる。もちろんこれは「狙った厭さ」ではあるが、その容赦のないこと。このまま行けば単につまらない話になるが、その先に行くのが田中ロミオ。中盤以降、普遍的なテーマが語られ始める。描写が世知辛くて身につまされるだけに言葉が鋭く突き刺さる瞬間があり、そこは光輝く。ラストの畳み方が慌ただしいので感銘まで到らない、というところか。田中ロミオ作品ではAURAとは表裏一体にも思えるので併せ読み推奨。

2015/07/25

スズ

就活生の大男チタンは、不採用続きで、内定を得られずにいた。彼はエルフやドワーフ等の他種族の友人や就活支援の団体の仲間達と共に内定を求めて奮闘するが……。就活経験者なら共感するネタが満載。落とされ続けて、他の仲間達が内定を得ていく現実に精神的に追い詰められていくチタンの様子がキツかった。百社以上落とされ続けたチタンが、ついに泣いてしまい、普段はいじわるばかり言うヨミカがオロオロしながらも、彼を慰め、彼の述懐に耳を傾ける姿が優しかった。社会から「お前はいらん」、と言われているような気持ちになるのには凄く共感。

2016/11/03

まりも

田中ロミオが送るファンタジー世界の過酷な就職活動を描いた物語。主人公・チタンの悲惨な就活模様やヨミカのオタサーの姫感と、ファンタジーの世界を舞台にしながら現代社会の重い部分を隠喩した数々の表現は見事ですね。このユーモアと毒に溢れた感じは田中ロミオらしくて結構好き。前半の就活模様は読んでいて沈んだけど、後半のシロの世話を通してヨミカの事を理解していく展開は良い雰囲気が出てて良かったですね。ただ期待していた程面白かったかと言われると微妙な所ですが。二人がその後どうなったのか気になるけど、次回作に期待。

2015/07/18

ゼロ

夢も希望もないファンタジーを描かせたら田中ロミオの右に出るものはない!そんな1冊でした。ファンタジーの世界観であるのに、21世紀の就職活動を皮肉を交えて、現実的に書くのはロミオ氏らしい。オタサーの姫であるヨミカも登場し、現代の日本を上手く作品に落としているのは見事。終盤の冒険をオチに持っていきたく強引な展開となり、紙幅が尽きたのかヨミカとの関係を完結させることなく、終了してしまったので消化不良な感じはする。語るべきテーマは語っていたとは思うが。エピローグを追加して、最後まで書いて欲しかった作品でした。

2015/07/28

よっち

「剣と魔法の大冒険」が遠い昔になった亜人混じりのファンタジーな新大陸に生きる、時代遅れの冒険者適正が高い大男チタンの物語。昨今の大学生と同じような就職活動で周囲の内定が決まっていく中、びっくりするくらいに世渡り下手なチタンの不採用が続く展開はかなり重苦しいとも思いましたが、後半ちょっと変わった白い犬シロを通して、あざとく生きようとしてもなかなかうまくいかなかったヨミカと心を通わせていく展開は、なかなか良かったですね。危機に陥ったヨミカを救った後二人がどうなったのか、ちょっと読んでみたいかな?と思いました。

2015/07/17

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