未来のための江戸学 (小学館101新書 52)
未来のための江戸学 (小学館101新書 52) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
日本と世界の未来を考えるために、江戸に学ぶというのが本書の主旨。なんだか、アナクロニズムに見えるかもしれないが、傾聴すべき点は実に多い。幕末の開国から、明治の西欧列強に肩を並べようとする近代化―そうして植民地主義を経て覇権主義に至った今、私たちは果たして幸せだろうか?この問いに答えるのも江戸でさる。すなわち「貪欲と浪費」より「配慮と節度」を重んじる価値観を取り戻すのが江戸学であると田中優子氏は述べる。「世界随一の精緻な水資源制御システム」を有した江戸、など本書の随所に示唆的な例が挙げられている。
2021/01/06
愛奈 穂佳(あいだ ほのか)
【ココロの琴線に触れたコトバ】とくに農村では座敷の周囲を縁側がめぐいっていて、なじみの深い客は庭からこの縁側にまわり、ここに座って話をするのが常であった。玄関から客間に通されてすることなどではなく、庭からふいと縁側に立ち寄って座り、天気のことなど話しながらできあがってくるかかわりに違いないと思える。縁側とは、まさにそのような、ほんの少し日常のコミュニケーションをする場所なのだ。
2015/07/31
らっそ
気づき:「分を守る」と常に意識しないと強欲になる。意識しよう。「今よりも明日」という考えから抜け出せない 気になる一文:量についての感覚は「分を守る」と言う言葉に象徴される/倹約とは、未来を見通し、今の無駄をなくして合理的に暮らすことである/「知ってるが知らない振りをする」と言うのが江戸時代の美学である
2011/06/01
yyrn
何の疑問もなくそういうものだと思いこんでいた「江戸」という時代について違う見方を示してくれる本。何故そういう評価をされてきたかも教えてくれる。良い本。
2013/06/24
abkbo
爆問に出演されていた田中優子先生の本。番組があまりに面白かったので読んでみた。田中先生の江戸に対する深い造詣と愛が感じられる好著。一般的に言われている豊かさとか近代らしさという価値観が西洋由来のものであるかを改めて気付かされた。「現代人の豊かさ=貪欲」であってそれは帝国主義的な西洋由来のものである。江戸時代の配慮と節度=分をわきまえる、は貧しいのではなくて高度に文明的なありよう という主張は多少贔屓し過ぎの感はあるものの当を得た指摘。
2011/01/08
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